105∘ の値を出せと言われたら、まず 60∘+45∘ と書き直します。
知っている 2 つの角に割る。加法定理の計算は、ほとんどがこの一手から始まります。
sin105∘=sin60∘cos45∘+cos60∘sin45∘=46+2
出てくる問題は型がいくつかに分かれます[1]。角を割る型、値だけが与えられる型、式を示す型、角そのものを当てる型。
順に片づけていきます。
割り方を決める
使える角は 30∘、45∘、60∘、90∘、180∘ です。この和や差で目標を作ります。
75∘ なら 45+30。15∘ なら 45−30。105∘ なら 60+45。
165∘ は 120+45 とも 180−15 とも書けます。どちらでも同じ値に着きます。
180−θ の形を使うなら、公式より sin(180∘−θ)=sinθ のほうが速い[2]。
sin165∘=sin15∘=46−2
割り方は 1 通りではありません。手数が少なくなる道を選びます。
例:cos 195° と tan 285°
195∘ は 180∘+15∘ です。cos(180∘+θ)=−cosθ を使います。
cos195∘=−cos15∘=−46+2
195∘ は第 3 象限なので cos が負。符号も合っています。
tan285∘ は tan の周期 180∘ を使って tan105∘ に直せます。
105∘=60∘+45∘ なので、tan の加法定理へ。
tan105∘=1−tan60∘tan45∘tan60∘+tan45∘=1−33+1
分母を有理化します。(1−3)(1+3)(3+1)(1+3)=−24+23=−2−3。
−2−3≒−3.73 です。285∘ は第 4 象限なので tan が負。合っています。
値だけが与えられる型
α は第 2 象限で sinα=53、β は第 4 象限で cosβ=1312 とします。
まず足りない値を出します。ここで象限が効きます。
第 2 象限では cos が負なので cosα=−54。第 4 象限では sin が負なので sinβ=−135。
sin(α+β)=53⋅1312+(−54)(−135)=6536+20=6556
cos(α+β)=(−54)1312−53(−135)=65−48+15=−6533
検算します。562+332=3136+1089=4225=652。単位円に乗りました。
sin が正で cos が負なので、α+β は第 2 象限にあります。
tan(α+β) も出せます。−33/6556/65=−3356。
この型でいちばん多い失点は、符号を決める前に代入する ことです。
cosα=±54 のまま先へ進むと、答えが 4 通りに膨らみます。象限を先に読みます。
式を示す型
sin(α+β)sin(α−β)=sin2α−sin2β を示します。
左辺を展開します。和と差の積なので (A+B)(A−B)=A2−B2 の形になる。
(sinαcosβ)2−(cosαsinβ)2=sin2αcos2β−cos2αsin2β
cos2β=1−sin2β、cos2α=1−sin2α を入れます。
sin2α−sin2αsin2β−sin2β+sin2αsin2β。
中央の 2 項が打ち消し合い、sin2α−sin2β が残りました。
証明の型では、展開したあと sin2+cos2=1 で片方にそろえる。この流れが定番です。
角そのものを当てる型
α と β が鋭角で tanα=21、tanβ=31 のとき、α+β を求めます。
tan の加法定理に入れます。
tan(α+β)=1−21⋅3121+31=6565=1
tan(α+β)=1 です。分子と分母が同じ値になり、きれいに 1 が出ました。
角を決めるには範囲が要ります。α も β も鋭角なので 0<α+β<π。
この範囲で tan が 1 になるのは 4π だけです。45π は範囲の外。
α+β=4π
tan の値から角を決めるときは、必ず範囲を書き添えます。tan は π ごとに同じ値をとるためです。
まちがえやすい点
cos の符号をとりちがえる誤りが最も多い。足し算のとき cos は引き算です。
α=β を入れて cos0=1 になるかを見れば、その場で確かめられます。
割り方をまちがえる誤りもあります。105∘ を 50∘+55∘ に割っても、値が分からないので進みません。
象限を読まずに ± のまま進む形も減点になります。答えが 2 通りになったら、条件を読み落としています。
tan の答えで範囲を書き忘れる誤りも多い。値が 1 でも、角は 4π と 45π の 2 つあります。
sin75∘−sin15∘ の値はどれですか。
__RESULT__
sin75∘=46+2、sin15∘=46−2 です。引くと 422=22 になります。和積で 2cos45∘sin30∘=2⋅22⋅21 と計算しても同じ値です。
角を当てる型も確かめます。
α、β が鋭角で tanα=3、tanβ=2 のとき、α+β はどれですか。
__RESULT__
tan(α+β)=1−63+2=−55=−1 です。α も β も鋭角なので 0<α+β<π で、この範囲で tan が −1 になるのは 43π になります。値が負なので、和が鈍角だと分かります。
知っている角に割る。象限で符号を決める。範囲で角を絞る。計算問題はこの 3 つで型が付きます。
参考文献
Sum and Difference Identities. Algebra and Trigonometry 2e, OpenStax. É. Bouchet. Trigonométrie, Cours de PCSI, Proposition 1.4 と 1.11(180∘±θ の変換と tan の加法定理が使える条件).
$105^\circ$ を $60^\circ + 45^\circ$ と書き直す。加法定理の計算はほとんどがこの一手から始まります。$165^\circ$ のように割り方が複数ある角では、$180^\circ - \theta$ を使うほうが手数が少ない。値だけが与えられる型では、$\cos\alpha = \pm\dfrac{4}{5}$ のまま進むと答えが 4 通りに膨らむので、象限を先に読みます。$\sin(\alpha+\beta)\sin(\alpha-\beta) = \sin^2\alpha - \sin^2\beta$ のような証明の型、$\tan\alpha = \dfrac{1}{2}$ と $\tan\beta = \dfrac{1}{3}$ から和が $\dfrac{\pi}{4}$ と決まる型まで。
sin75∘=46+2、sin15∘=46−2 です。引くと 422=22 になります。和積で 2cos45∘sin30∘=2⋅22⋅21 と計算しても同じ値です。