2θ が混ざった式は、そのままでは扱えません。θ だけの式に直すのが最初の一手です。
sin2θ=2sinθcosθ,cos2θ=2cos2θ−1=1−2sin2θ
方程式でも最大最小でも、まずこの置きかえで θ にそろえます。そろえば 2 次式の問題に化ける。
逆に、θ の 2 乗を 2θ の 1 次式へ落とす向きも使います。積分で要る形です。
どちらへ動かすかは、何を消したいかで決まります。
値を出す型
θ が第 2 象限で sinθ=53 とします。sin2θ と cos2θ を出します。
まず cosθ を補います。第 2 象限なので負で、cosθ=−54。
sin2θ=2×53×(−54)=−2524
cos2θ は sinθ が分かっているので 1−2sin2θ を選びます。
cos2θ=1−2×259=2525−18=257
検算します。242+72=576+49=625=252。単位円に乗りました。
sin2θ が負で cos2θ が正なので、2θ は第 4 象限。θ が第 2 象限なら 2θ は 180∘ から 360∘ の範囲にあり、矛盾しません。
3 つの形をどう選ぶか
cos2θ には 3 つの書き方があります[1]。手元にある値で選びます。
| 分かっている値 | 選ぶ形 | 理由 | | sinθ だけ | 1−2sin2θ | そのまま代入できる |
| cosθ だけ | 2cos2θ−1 | そのまま代入できる |
| 両方 | どれでもよい | cos2−sin2 が最短 |
sinθ=53 しかない場面で cos2θ−sin2θ を選ぶと、cosθ を先に出す手間が増えます。
方程式では選び方がもっと重要になります。残したい文字のほうへそろえる。
tan が与えられる場合
tanθ=31 のとき tan2θ を出します。
tan2θ=1−tan2θ2tanθ=1−9132=9832=32×89=43
tanθ が 31 で tan2θ が 43。角が 2 倍になっても、値は 2 倍になりません。
tanθ=1 のときは分母が 0 になります。2θ=90∘ で tan が定義できない場合です。
sin2θ と cos2θ も tanθ だけで書けます。sin2θ=1+tan2θ2tanθ、cos2θ=1+tan2θ1−tan2θ。
tanθ=31 なら sin2θ=10/92/3=53、cos2θ=10/98/9=54。3、4、5 の直角三角形が現れました[2]。
方程式に使う型
sin2θ=sinθ を 0≤θ<2π で解きます。
2θ を開いて θ にそろえます。2sinθcosθ=sinθ。
移項して sinθ(2cosθ−1)=0。両辺を sinθ で割ってはいけません。sinθ=0 の場合が消えます。
sinθ=0 から θ=0, π。cosθ=21 から θ=3π, 35π。
答えは 4 つです。割り算をしていたら、0 と π を落としていました。
cos が混ざる形も見ます。cos2θ+3cosθ+2=0。
cosθ を残したいので cos2θ=2cos2θ−1 を選びます。2cos2θ+3cosθ+1=0。
因数分解して (2cosθ+1)(cosθ+1)=0。cosθ=−21 か cosθ=−1 です。
θ=32π, 34π, π の 3 つ。1−2sin2θ を選んでいたら、sin と cos が混ざって進めませんでした。
最大最小に使う型
y=cos2θ+4sinθ の最大値と最小値を、0≤θ<2π で求めます。
sin にそろえたいので cos2θ=1−2sin2θ を選びます。
y=1−2sin2θ+4sinθ。t=sinθ と置くと 2 次関数になります。
y=−2t2+4t+1=−2(t−1)2+3
t の範囲は −1≤t≤1 です。ここを書き落とすと答えが変わります。
頂点 t=1 が範囲の右端に入っているので、最大値は 3。sinθ=1 なので θ=2π。
最小は左端の t=−1 で −2−4+1=−5。sinθ=−1 なので θ=23π。
2 倍角で文字をそろえ、置きかえて 2 次関数にする。この流れが最大最小の定石です。
t=sinθ なら −1≤t≤1。範囲を書かないと、頂点が範囲の外にある場合を見落とします。
式を示す型
1+cos2θsin2θ=tanθ を示します。
分子は 2sinθcosθ。分母は 1+(2cos2θ−1)=2cos2θ です。
2cos2θ2sinθcosθ=cosθsinθ=tanθ
分母で 2cos2θ−1 を選ぶのが要です。1 が打ち消えて、きれいに約分できます。
1−2sin2θ を選ぶと 2−2sin2θ=2cos2θ となり、遠回りになりますが同じ答えに着きます。
まちがえやすい点
sin2θ を 2sinθ とする誤りが最も多い。θ=30∘ で試せば、0.866 と 1 で違うと分かります。
cos2θ の 3 つの形で、1 の位置を入れ替える誤りもよく出ます。cos が後ろ、sin が前です。
方程式で両辺を sinθ や cosθ で割る操作は禁物。0 になる場合を落とします。
置きかえた文字の範囲を書き忘れる誤りも減点になります。t=sinθ なら −1≤t≤1。
tan2θ の分母の符号も逆にしやすい。1−tan2θ で、引き算です。
cosθ=32 のとき、cos2θ はどれですか。
__RESULT__
cosθ が分かっているので 2cos2θ−1 を選びます。2×94−1=98−1=−91 です。34 は 2cosθ の値で、公式ではありません。
方程式の型も確かめます。
0≤θ<2π で cos2θ=cosθ の解はいくつありますか。
__RESULT__
2cos2θ−1=cosθ を整理すると 2cos2θ−cosθ−1=0、因数分解して (2cosθ+1)(cosθ−1)=0 です。cosθ=−21 から 32π と 34π、cosθ=1 から 0 の合わせて 3 個になります。
2θ を θ にそろえ、残したい文字で形を選び、置きかえたら範囲を書く。倍角の計算はこれで通せます。
出典
Double-Angle, Half-Angle, and Reduction Formulas. Algebra and Trigonometry 2e, OpenStax(2 倍角の 3 つの形と次数下げ). É. Bouchet. Trigonométrie, Cours de PCSI, Proposition 1.9(formules de duplication).
$2\theta$ が混ざった式はそのままでは扱えません。$\theta$ にそろえた瞬間、2 次式の問題に化けます。$\cos 2\theta$ に 3 つの形がある意味は、残したい文字のほうを選べる点。$\cos 2\theta + 3\cos\theta + 2 = 0$ で $1 - 2\sin^2\theta$ を選ぶと $\sin$ と $\cos$ が混ざって進めなくなります。$\sin 2\theta = \sin\theta$ を両辺 $\sin\theta$ で割ると解が 2 つ消える話、$y = \cos 2\theta + 4\sin\theta$ を $t = \sin\theta$ で 2 次関数に落とすときに $-1 \le t \le 1$ を書く理由まで。
cosθ が分かっているので 2cos2θ−1 を選びます。2×94−1=98−1=−91 です。34 は 2cosθ の値で、公式ではありません。