x3=1 を、移項して因数分解します。
x3−1=(x−1)(x2+x+1)=0
x=1 か、x2+x+1=0 か。あとのほうを解の公式にかけると、判別式が 1−4=−3 で虚数解が 2 つ。
x=2−1±3i
実数の範囲では 1 しかありませんが、複素数まで広げると解は 3 つそろいます。
1 以外を ω と書く
1 でない解の一方を ω とおくと、もう一方は ω2 になります。
ω2 が解であることは、3 乗して確かめられる。(ω2)3=(ω3)2=12=1。
ω2 が 1 でも ω でもないことも確かめておきます。ω2=1 なら ω3=ω となって ω=1 に戻ってしまい、ω2=ω なら両辺を ω で割って ω=1。どちらも仮定と食い違う。
だから 1 の 3 乗根は 1、ω、ω2 の 3 つです。
ω=2−1+3iのときω2=2−1−3i
ω をどちらに選んでも顔ぶれは同じ。もう一方は自動的に ω2 の側に回ります。
使うのは 2 本だけ
ω の計算でいるのは、次の 2 本です。
1 本目は定義そのもの。2 本目は ω3−1=(ω−1)(ω2+ω+1)=0 で、ω=1 だから右のかっこが 0 になります。
ω の値を 2−1+3i のまま持ち歩かず、この 2 本で片づけていきます。
指数は 3 で割った余りで決まる
ω3=1 なので、ωn は n を 3 で割った余りだけで決まります。
| 余り 0 | ωn=1 |
| 余り 1 | ωn=ω |
| 余り 2 | ωn=ω2 |
ω100 なら 100=3×33+1 で余りが 1。ω100=ω です。
i の累乗が 4 で割った余りで決まる話と同じ仕組みで、周期が 3 に変わっただけ。
例:ω2026+ω2027+ω2028
2026=3×675+1 で余りは 1。続く 2 つは余りが 2、0 になります。
ω2026+ω2027+ω2028=ω+ω2+1=0
連続する 3 つを足すと、いつも ω2+ω+1 の形に戻って 0。
例:(1+ω)2026
ω2+ω+1=0 を移項すると 1+ω=−ω2。かっこの中を先に置きかえます。
(1+ω)2026=(−ω2)2026=(−1)2026ω4052=ω4052
4052=3×1350+2 で余りは 2。答えは ω2 です。
1+ω を 21+3i と数で書いて 2026 乗するより、−ω2 に替えるほうが短い。
ω50 の値はどれですか。
__RESULT__
50=3×16+2 で余りは 2 です。ω50=ω2 になります。余りを 1 とすると ω、0 とすると 1 を選ぶことになる。
例:(1−ω+ω2)(1+ω−ω2)
1+ω+ω2=0 を足がかりにします。左のかっこは、そこから 2ω を引いた形。
1−ω+ω2=(1+ω+ω2)−2ω=−2ω
右のかっこは 2ω2 を引いた形です。
1+ω−ω2=(1+ω+ω2)−2ω2=−2ω2
かけると 4ω3=4。
(−2ω)(−2ω2)=4ω3=4
例:ω+ω1
ω3=1 の両辺を ω で割ると ω2=ω1。逆数が 2 乗に化けます。
ω+ω1=ω+ω2=−1
ω2+ω+1=0 から ω+ω2=−1。分数を残さずに答えが決まりました。
因数分解に使う
x3−1 を複素数の範囲で分けきると、1 次式が 3 つ並びます。
x3−1=(x−1)(x−ω)(x−ω2)
a3+b3 のほうも同じように分けられる。a2−ab+b2 が ω で割り切れます。
(a+ωb)(a+ω2b)=a2+ab(ω+ω2)+ω3b2=a2−ab+b2
ω+ω2=−1 と ω3=1 が、ちょうど中央の項と最後の項に効いている。
a3+b3=(a+b)(a+ωb)(a+ω2b)
1+ω2 を ω だけで書くとどれになりますか。
__RESULT__
ω2+ω+1=0 を 1+ω2=−ω と移項します。1+ω=−ω2 のほうとまぜないところが目印。
ω は 2−1+3i という数ですが、計算のあいだはその値を書かずに進みます。ω3=1 で指数を 3 の余りに落とし、ω2+ω+1=0 で 1 と ω と ω2 を行き来する。この 2 本で足ります。
$x^3 - 1 = (x-1)(x^2+x+1)$ と分けると、$x = 1$ のほかに $x = \dfrac{-1 \pm \sqrt{3}i}{2}$ が並びます。$1$ 以外の一方を $\omega$ と書けば、もう一方は $\omega^2$。使う式は $\omega^3 = 1$ と $\omega^2 + \omega + 1 = 0$ の 2 本で、指数は $3$ で割った余りに落ち、$1 + \omega$ は $-\omega^2$ に化けます。$\omega^{2026} + \omega^{2027} + \omega^{2028} = 0$ や $(1+\omega)^{2026}$ の片づけ方、$a^3 + b^3 = (a+b)(a+\omega b)(a+\omega^2 b)$ まで。
50=3×16+2 で余りは 2 です。ω50=ω2 になります。余りを 1 とすると ω、0 とすると 1 を選ぶことになる。