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三角関数の最大値と最小値の求め方(合成と置きかえ)

のように と が 1 次で混ざった式は、合成すると 1 つの にまとまります。

文字が 1 種類になれば、その文字がどこまで動くかを見て最大と最小が決まる。2 乗が入る式も、和と積が同時にある式も、置きかえて同じ形に持ちこみます。

合成の と は点 の極座標

を に直すとき、 と を使います。この 2 つは、座標平面に点 をとったときの原点からの距離と、 軸となす角にあたる[2]。

右辺を加法定理で開くと になります。左辺と見比べれば 、 で、これは を極座標で書いた式そのもの。

だから は になります。三平方の定理で斜辺の長さを計算しているので、覚える式が 1 つ減る。

のほうは だけでは決まりません。 は ごとに同じ値を返すため、 がどの象限にあるかを見て選びます[2]。 なら を足すか引くかの調整が要る。

例: で

なので 、。合成すると になります。

に制限がなければ は から まで動くので、最大 、最小 。ここでは制限があるため、中身の動く範囲を先に計算します。

この区間は をまたぐので、 は に届く。最大値は で、 すなわち のとき。

最小は区間の端にあります。 と を比べると後者が小さいので、最小値は 、 のときになる。

もとの式に を入れると で、同じ値になりました。

例: で

の書き方は 3 通り。 にそろえたいので を選ぶ。

となり、 だけの式になりました。 と置くと、 の範囲は 。

頂点の は範囲の中にあるので、最大値は 。 を満たす は と の 2 つあります。

最小は頂点から遠いほうの端で、 のとき 。 から になる。

例: で

と置くと です。範囲は前の例と同じ 。

頂点の は範囲の外にあります。 のあいだ放物線は下がりつづけるので、最大も最小も端で決まる。

で 、 で 。最大値は で 、最小値は で になる。

範囲を書かずに頂点を最小値と答えると になりますが、この はどの でも取りません。

で の最大値はどれですか。

__RESULT__

で にそろえると です。、 として 。頂点 が範囲の右端に入っているので最大値は 、 のときになります。

例: で

和と積の両方が入っています。 と置くと 2 乗して になるので、積のほうも で書ける。

を代入します。

の範囲は合成から決まります。 なので 。

頂点の は範囲の中にあるので、最小値は 。最大は遠いほうの端 で、 になります。

を与える は の 1 つ、 を与える は と の 2 つ。 から に戻すとき、個数は一定ではない。

和と積が同時にある式

和を と置き、2 乗して積を で書く

の範囲を合成で決める

2 次関数として最大最小を読む

から へ移ると情報が減る

と置いた時点で、 の情報の一部が落ちます。 と はどちらも になるので、 の側から 2 つを区別できない。

減った情報を補うのが範囲です。 が一周するあいだ は から までしか動かないので、 と書いておく。これを落とすと、2 次関数の頂点をいつでも最大最小として読んでしまいます。

答えを に戻すときは、逆に 1 つの から複数の が対応します。 のまま答えを書いて終えると、そのぶん解が足りなくなる。

に制限がついている問題では、 の範囲もそのぶん狭まる。合成した式の中身の範囲を計算するのは、この狭まりを拾うためです。

の範囲を決めたあと、 に戻せるかどうか も確かめます。

が最大になる値が範囲の端にあっても、その を与える が制限の中にあるとは限りません。

範囲のついた合成でも同じことが起きる。

で の最小値はどれですか。

__RESULT__

合成すると です。中身の範囲は で、この区間の の最小は端の 。 をかけて になります。 になるのは中身が のときで、範囲の外です。

工学では合成をベクトルの足し算でやる

同じ振動数の正弦波を足すと、振動数の変わらない 1 つの正弦波になります。 を に直す計算は、物理や電気工学では波の重ね合わせとして扱われる[1]。

そこでは加法定理を開きません。それぞれの波を、長さと向きを持つ矢印として描く。

と は位相が ずれているので、2 本の矢印は直交します。長さ と長さ の直交する矢印を足せば、和の長さは 、向きは の角になる[1]。

合成の公式として覚えていたものが、矢印の足し算の答えと同じ形になっています。三角関数の変形として見れば加法定理を開いて係数を見比べる手続きで、矢印として見れば 1 回の足し算。同じ操作を、分野ごとに違う道具で書いています。

参考

B.-P. Paris. *The Phasor Addition Rule*. ECE 201: Intro to Signal Analysis, George Mason University.
*Harmonische Schwingung*. Vorlesung Differentialrechnung, Universität Stuttgart.
$\sin$ と $\cos$ が 1 次で混ざった式は合成して 1 つの $\sin$ に、2 乗が入れば $t = \sin\theta$ と置いて 2 次関数に、和と積が同時にあれば和のほうを $t$ と置く。どれも 1 種類の文字にそろえる手です。合成の $R = \sqrt{a^2+b^2}$ と $\alpha$ は、点 $(a, b)$ の極座標そのもの。置きかえた文字に範囲がつくのは $\theta$ から $t$ へ移るときに情報が減るからで、$t = \dfrac{1}{2}$ を与える $\theta$ が 2 つあるぶん、答えを戻すときも解が増えます。頂点が範囲の外にある例、$\theta$ に制限がつくと $t$ の範囲も狭まる話、そして工学では同じ合成を矢印の足し算でやっている話まで。