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tan の半角で置きかえると三角関数の積分が有理式になる

と置くと、 も も も、 の分数式に変わります。

三角関数が消えて、多項式の割り算だけが残る。 と の分数式は、これで必ず積分できます[1]。

強力なぶん式が膨らみやすいので、ほかの手が使えないときの最後の道具として持っておきます。

3 本とも半角から出る

から始めます。 を作りたいので でくくる。

です。ここで 。

を逆に読んだ形です[2]。まとめると 。

は 2 倍角から。。

は を微分します。。

逆数をとって 。3 本とも半角の公式から出ました。覚える式ではありません。

分母がそろっているのが要

3 つの式の分母は、どれも です。ここが効きます。

分数式に代入すると、分母どうしが約分し合って の多項式の割り算に落ちる。

だから答えは必ず、 の有理式の積分になります。三角関数が完全に消えるのが、この置換の値打ちです[1]。

例:1 + cos x の逆数

を計算します。

を入れます。分母は 。

の と割り算すると、きれいに になります。

答えが そのものになりました。

半角の公式でも同じ答えに着きます。 なので、被積分関数は 。

これは の微分そのものです。置換を使わないほうが速い例でもあります。

例:1 + sin x の逆数

は、半角ではうまくいきません。置換の出番です。

分母は 。

分子の 乗が出てきました。 と合わせます。

を戻して 。

微分して確かめます。。

一方 。一致しました。

例:sin x の逆数

も置換で片づきます。

を入れます。

という最も簡単な形になりました。

分母が のように定数がずれると、 のような形が残ります。

こうなったら と置く別の置換に移ります。1 回で終わらないこともある。

単位円の有理点との関係

この置換には、図形としての意味があります。点 から傾き の直線を引いてみます。

円と交わるもう 1 つの点が です。

直線が 軸となす角が になるのは、円周角の定理から出ます。中心角の半分だからです。

が有理数なら、交点の座標も有理数になります。分数式に有理数を入れているだけなので。

なら 。、、 の直角三角形が出てきました。

なら で 、、。積分の道具が、整数の話につながっています。

を から まで動かすと、円周のうち だけが残ります。

のとき が定義できないためです。積分区間に が入る場合は、区間を分けて扱います。

使わないほうがよい場合

万能ですが、式が膨らみます。ほかの手があるならそちらが速い。

は を 1 つ外して と置けば 3 行で終わります。置換を当てると分数式の割り算になり、遠回りです。

も積和で開けば済みます。

置換が要るのは、 や が分母に入っていて、しかも半角では消えない形です。

、、 などが当てはまります。

置換が向く形

や が分母にある分数式。ほかの手では約分できない

置換が向かない形

や の積や累乗。積和や次数下げ、 の置きかえのほうが短い

まちがえやすい点

の分子を とする符号ミスが最も多い。 で、 が先です。

で確かめられます。 なので 。 で合います。

を に替え忘れる誤りもよく起きます。 を掛けるのを忘れると、答えが別物になる。

を戻し忘れる形も減点になります。答えは の式で書きます。

定積分では積分区間も に直します。 の区間をそのまま使うと値が変わります。

と置くとき、 はどれになりますか。

__RESULT__

に を入れると です。 すなわち を入れると になり、 と合います。

積分の形も確かめます。

の答えはどれですか。

__RESULT__

分母に を入れると になり、 の と約分して です。 と直しても同じ答えに着きます。 は のほうの答えです。

半角の公式から 3 本を作り、分母をそろえて有理式に落とす。最後の手段として持っておく置換です。

参考文献

Weierstrass Substitution. MathWorld( による 、、 の書き換え).
É. Bouchet. Trigonométrie, Cours de PCSI, Proposition 1.9 と 1.10(2 倍角と、).
$t = \tan\dfrac{x}{2}$ と置くと $\sin x = \dfrac{2t}{1+t^2}$、$\cos x = \dfrac{1-t^2}{1+t^2}$、$dx = \dfrac{2}{1+t^2}dt$ となり、三角関数が消えて多項式の割り算だけが残ります。3 本とも半角の公式から作れるので覚える必要はありません。分母がどれも $1+t^2$ でそろっているところが効いて、代入すると約分し合う。$\displaystyle\int\frac{dx}{1+\sin x}$ のように半角では消えない形が本領で、$\sin^3 x$ のような積や累乗にはむしろ遠回りです。単位円の有理点と $3$、$4$、$5$ の直角三角形につながる話まで。