ホモトピーは、2つの連続写像が「連続的に変形可能」であることを表す位相空間論の概念です。直感的には、ある写像を途切れさせることなく別の写像へと変形できるとき、それらは互いにホモトピックであるといいます。
ホモトピーの定義
位相空間 と連続写像 について、連続写像 が存在して
を満たすとき、 と はホモトピックであるといい、 と書きます。このとき を から へのホモトピーと呼びます。
パラメータ は「変形の時刻」を表し、 は時刻 における の像を与えます。 では元の写像 、 では目標の写像 になります。
簡単な例
円周上の恒等写像と定値写像
円周 上の恒等写像 と、すべての点を1点に送る定値写像 を考えます。これらはホモトピックではありません。なぜなら、円周を連続的に1点につぶすことはできないからです。
平面上の2つの道
平面 上で、点 から点 へ至る2つの道(連続曲線) を考えます。障害物がなければ、一方の道を連続的に変形してもう一方の道に移すことができます。したがってこれらはホモトピックです。
具体的に、 と がホモトピックであることを示すホモトピー は次のように定義できます。
これは と を直線的に補間する写像で、 のとき 、 のとき になります。
ホモトピー同値
2つの位相空間 と連続写像 、 について
が成り立つとき、 と はホモトピー同値であるといいます。ホモトピー同値な空間は位相的には異なっていても、ホモトピー論の観点からは「本質的に同じ」とみなされます。
たとえば、円盤 とその中心の1点 はホモトピー同値です。円盤全体を中心へ連続的に縮めることができるからです。