正規直交基底は、互いに直交し長さが 1 のベクトルからなる基底である。計算が簡潔になり、内積空間の解析において中心的な役割を果たす。
正規直交系の定義
内積空間 のベクトルの組 が正規直交系であるとは、次の条件を満たすことをいう。
つまり、異なるベクトル同士は直交し、各ベクトルのノルムは 1 である。正規直交系が基底になるとき、正規直交基底と呼ぶ。
正規直交基底の利点
正規直交基底を用いると、座標の計算が内積だけで済む。 を正規直交基底とすると、任意の は
と表せる。係数 は内積を計算するだけで得られ、連立方程式を解く必要がない。
内積の計算も簡単になる。、 のとき
となり、座標成分の標準内積に帰着する。
の標準基底
の標準基底 は正規直交基底である。標準内積に関して が成り立つ。
他の正規直交基底も存在する。たとえば では
も正規直交基底である。
正規直交基底の存在
有限次元内積空間には常に正規直交基底が存在する。グラム・シュミットの正規直交化法を用いれば、任意の基底から正規直交基底を構成できる。
無限次元の場合は完備性の議論が必要になるが、ヒルベルト空間では完全正規直交系の存在が保証される。
パーセバルの等式
正規直交基底 に関して、次のパーセバルの等式が成り立つ。
これはピタゴラスの定理の一般化であり、ベクトルの長さの二乗が各座標成分の二乗和に等しいことを述べている。