空気の抵抗を考えずに済むとき、落ちていく物体にはたらいているのは重力だけです。このとき加速度は下向きで、大きさは に決まっています。上向きを正に取れば です。
大事なのは、この値が物体によらないことです。重い球と軽い球を同じ高さから同時に落とすと、どの瞬間も同じ高さにいて、同時に地面へ着きます。図の 2 本の矢印の長さが同じなのは、そのためです。
重い物のほうが速く落ちそうに思えるのは、ふだん空気の抵抗を一緒に見ているからです。羽根と鉄球で違いが出るのは重さのせいではなく、空気のせいです。
静かに手を放して落とすと、初速が 0 の等加速度運動になります。これを自由落下といいます。
位置の公式 で と置けば第 1 項が消えて、落ちた距離は になります。速さのほうは です。
時間が 2 倍になると、速さは 2 倍ですが、落ちた距離は 4 倍になります。距離だけが 2 乗で効くので、下へ行くほど打点の間隔が大きく広がっていきます。
真上へ投げ上げても、はたらいているのは重力だけです。だから加速度は、上っているあいだも下りているあいだも、ずっと下向きのままです。
最高点では速度が 0 になります。図でも速度の矢印だけが消えます。しかし加速度の矢印は同じ長さで残っています。だからそこで止まったままにはならず、すぐに落ちはじめます。
最高点の高さは、時間を消した式から出せます。 を に入れると です。ここにも 2 乗が出てきます。倍の速さで投げ上げれば、4 倍の高さまで上がります。
速度のグラフを見ると、上りも下りも 1 本の直線です。折れも切れもしません。0 の線を横切るところが最高点で、そこを境に上下が鏡写しになっています。
線と時間軸で囲む面積は、上が上りに進んだ高さ、下が下りに落ちた高さです。同じ地面へ戻ってくるのですから、この 2 つの面積は等しくなります。だから上りにかかる時間と下りにかかる時間も同じです。
同じ高さのところでは、速さがいつでも等しくなります。向きだけが逆です。 を見れば分かります。 が 2 乗で入っているので、この式は速さしか決めておらず、向きまでは決めていないからです。
投げ上げと自由落下を別の運動として覚える必要はありません。初速の符号が違うだけの、同じ 1 つの等加速度運動です。