速い球は止めにくく、重い球も止めにくい。止めにくさは速さと質量の両方で決まります。その 2 つを掛けたものを運動量といい、 と書きます。
向きを持つ量です。右へ走る球と左へ走る球では符号が変わります。1 直線の上の話ですから、右を正と決めておけば、あとは数の符号だけで済みます。
同じ でも中身はいろいろです。軽くて速い球と、重くて遅い球が、同じ運動量を持つことがあります。図では質量と速さを取り替えていますが、棒の長さは変わりません。
これから見ていくのは、この がどう変わるか、そしてどんなときに変わらないかです。
出発点は です。加速度は速度の変わり方ですから、力が一定なら と書けます。
これを入れて、両辺に を掛けます。 となり、左辺は 、つまり運動量の変化そのものです。
右辺の を力積といいます。力と、それがはたらいた時間の積です。
まとめると 。力積を受けた分だけ運動量が変わる、という言い方に変わりました。中身は運動方程式のままですが、衝突のように短い時間に強い力がはたらく場面では、こちらのほうが扱いやすくなります。
実際の衝突では、力は一定ではありません。触れた瞬間から強くなり、いちばん潰れたところで最大になり、離れるにつれて弱まります。
それでも困りません。力を時間の関数と見て - のグラフを描けば、力積はその下の面積になります。一定の力なら長方形、変わる力なら曲線の下の面積です。
図では、面積の等しい長方形と山を重ねてあります。形は違っても面積が同じなら、運動量の変化は同じです。
短い時間に強くはたらいても、長い時間に弱くはたらいても、面積が同じなら結果は変わらない。次の場面はその読み替えです。
を、こんどは について読みます。 です。
受け止めたい運動量 が決まっているとき、時間を長くすれば力は小さくて済みます。分母が大きくなるだけのことです。
受け身を取る、膝を曲げて着地する、車にエアバッグを入れる。どれも同じことをしています。止まるまでの時間を伸ばして、体にかかる力を下げているのです。
図では面積を保ったまま、山を横へ伸ばしていきます。高さが下がっていきます。面積は運動量の変化で決まっていて、そこは動かせません。動かせるのは形のほうです。