等加速度運動の 3 つ目の公式(v² - v₀² = 2ax の導出・制動距離)

時刻は聞かれていない

走っている車がブレーキをかけて止まるまでに、何 m 進むか。この問いには時間が出てきません。知りたいのは距離だけです。

ところが、いま持っている公式は の 2 本で、どちらにも が入っています。だから、まず止まるまでの時間を求めて、それから距離を出す、という二段構えになります。

解けはします。ただ、聞かれてもいない量をいちいち通るのは遠回りです。 を通らずに済ませたい。

時刻を解く

速度の式 は、 について解けます。移項して 、両辺を で割って です。

グラフで見れば当たり前のことをしています。直線の傾きが加速度なのですから、縦の変化を傾きで割れば横の長さ、つまりかかった時間が出ます。

これで を、速度と加速度だけで書けるようになりました。あとはこれを距離の式へ入れます。

代入して整理する

距離は台形の面積で と書けました。ここへ を入れると、 になります。

分子は和と差の積です。展開すれば になります。だから となり、分母をはらって が残ります。

この式に は入っていません。時刻を知らなくても、速度と加速度と距離の 3 つが直接むすびついています。3 本目の公式と呼ばれるものですが、新しい法則ではありません。前の 2 本から を消しただけです。

止まるまでの距離

止まるときは ですから、 となります。減速の大きさを と書き直せば、止まるまでに進む距離は です。

ここで大事なのは、初速が 2 乗で効いていることです。同じブレーキでも、初速が 2 倍なら止まるまでの距離は 4 倍になります。速さが少し増えただけで、止まれる距離は大きく伸びます。

図の 2 つの段は、初速だけが 2 倍違います。ブレーキの強さは同じなのに、下の段は上の段の 4 倍の距離を走ってから止まります。

等加速度直線運動シミュレーター傾きが加速度、面積が変位時刻を知らなくても解ける負の加速度は減速とは限らない落ちるのも投げ上げるのも同じ運動
斜方投射シミュレーター横と縦は別々に動く消えるのは時間いちばん飛ぶのは 45°
摩擦シミュレーター摩擦は言いなり面を押す強さで決まるすべり出す角は重さによらない
立てかけた棒シミュレーター力がつり合っても倒れる壁はなめらか、床はざらざら立てるほど倒れにくい
滑車シミュレーター張力は足すと消える張力は重さではない動き出すには重さが要る
ジェットコースターシミュレーター道すじは関係ない谷で重く、丘で軽い2.5 倍の高さが要る
運動量保存則シミュレーター力積が運動量を変える内側で打ち消し合うもう 1 本は反発係数
衝突シミュレーター壁は運動量を持っていくはずむたびに e² 倍無限に跳ねても止まる
円運動シミュレーター速さが同じでも加速している向心力という力はない傾けるほど速く回る
ばねの単振動シミュレーター単振動は等速円運動の影速度と加速度も同じ円の影エネルギーは形を変えるだけ
単振り子シミュレーター小さく振れる振り子はばねと同じ高さが速さを決める加速する電車では鉛直が傾く
惑星運動シミュレーター月も落ち続けている近いところほど速い周期は軌道の大きさで決まる速ければ二度と戻らない