壁に棒を立てかけます。上端は壁に、下端は床に着いています。まず、この棒にはたらく力をぜんぶ数え上げます。何が要るかを決めるのが、いちばん初めの仕事です。
重さ が 1 つ。棒の真ん中にかかります。太さの一様な棒なら、重心はちょうど真ん中に来るからです。
あとは触れているところから来る力です。床からは、面に垂直な垂直抗力 と、面に沿う摩擦力 の 2 つ。壁からは、面に垂直な垂直抗力 が 1 つだけです。
壁が 1 つしかないのは、壁をなめらかだと決めたからです。なめらかというのは摩擦がないという意味で、だから壁からは面に垂直な力しか来ません。図で床に 2 本、壁に 1 本の矢印が出ているのは、そのままこの違いを表しています。合わせて 4 つ。これで全部です。
4 つそろったので、つり合いを立てます。まず縦からです。
鉛直を向いているのは、重さ と床の垂直抗力 の 2 つだけです。壁からの も床の摩擦 も水平を向いているので、縦の勘定には入ってきません。
つり合うので です。図で棒を寝かせたり立てたりしてみても、この 2 本の矢印はぴくりとも動きません。角がどうであれ、床は棒の重さをまるごと受け止めています。
1 本目の式が出ました。ただしこれは を教えてくれただけで、知りたい には触れていません。
次は横です。水平を向いているのは、壁が押す と、床の摩擦 の 2 つです。
壁は棒を右へ押します。押し返された棒の下端は右へすべろうとするので、摩擦はそれを引き止めて左を向きます。この 2 つがつり合って です。
図で角を振ると、2 本そろって伸び縮みします。寝かせるほど壁を強く押し、摩擦もそのぶん強く出る。逆に立てるほど、どちらも小さくなります。
2 本目の式も出ました。ところが、ここで様子がおかしいことに気づきます。
という式は、2 つが等しいと言っているだけです。その値がいくつなのかは、何も言っていません。
数えてみます。分からないものは 、、 の 3 つ。式は縦と横の 2 本。1 本足りません。 で は片づきましたが、 と の 2 つに対して式が の 1 本しか残っていないのです。
図では棒の角を止めたまま、 と だけを一緒に伸び縮みさせてあります。どの長さにしても、縦のつり合いも横のつり合いも成り立ってしまう。力のつり合いは、この 2 本を止める力を持っていません。
足りない 1 本は、前の講義で用意してあります。剛体のつり合いには条件が 2 つ要るのでした。まだモーメントを使っていません。次の講義でそれを立てれば、 が決まり、すべり出す角まで一気に出ます。