質量を持つものはすべて、互いに引き合っています。その力の大きさが です。 は万有引力定数で、いつでもどこでも同じ値をとります。
2 つの質量の積に比例するところは、素直な形です。気をつけるのは分母のほうで、距離が 2 乗で効いています。 倍離れれば力は 、 倍離れれば です。距離に反比例するのではありません。
図では惑星を近づけたり離したりしています。矢印の伸び縮みが、距離の変わり方よりずっと激しく見えるはずです。それが 乗で効いているということです。
この力に上限も下限もありません。どれだけ離れても にはならず、宇宙のどこにいてもすべての天体から引かれ続けています。ただし遠いものからの力は 乗で小さくなるので、実際に効いてくるのは近くの重い天体だけです。
式に と が同じ形で入っていることに気をつけてください。どちらが引く側でどちらが引かれる側、という区別はありません。 つは同じ大きさの力で引き合っています。作用反作用の法則そのものです。
太陽が地球を引く力と、地球が太陽を引く力は等しい。りんごが地球に引かれるのと同じ大きさで、りんごも地球を引いています。図の 本の矢印は、距離を変えてもいつも同じ長さのままです。
それでも太陽やりんごの動きがまるで違うのは、力が違うからではありません。質量が違うからです。運動方程式は となり、同じ力を受けても、加速度のほうは質量の比だけ逆に開きます。
りんごが落ちるとき地球もりんごに向かって動いていますが、地球の質量はりんごのけた違いに大きいので、その加速度は測りようがないほど小さくなります。動かないのではなく、動きが見えないだけです。
万有引力は空の上だけの話ではありません。手から離した物が落ちるのも、同じ つの力です。
地表にある質量 の物を考えます。地球の質量を 、半径を とすれば、はたらく万有引力は です。いっぽうその力は重力 でもあります。同じものを 通りに書いただけなので、 と等号で結べます。
両辺の が約分できて、 が残ります。落ちる物の質量が式から消えました。重い物も軽い物も同じ加速度で落ちるのは、このためです。
は落ちる物の性質ではなく、地球の性質だ、ということでもあります。質量の大きな天体ほど、また半径の小さな天体ほど は大きい。月の上で物がゆっくり落ちるのは、月が軽いからです。
ではなぜ、月は落ちてこないのでしょうか。落ちてこないのではありません。落ち続けているのです。
ニュートンが考えた図があります。高い山の上から、球を水平に撃ちます。弱く撃てば手前に落ち、強く撃つほど遠くへ落ちます。ここで地面が丸いことが効いてきます。球が落ちていくあいだに地面のほうも下がっていくので、落ちる先はどんどん先へ逃げていきます。
十分に速く撃つとどうなるか。落ちて曲がる分と、地面が丸く逃げる分がちょうど釣り合い、いつまでも地面に届かなくなります。これが円軌道です。
このとき球はまっすぐ進んでいるのでも、引力から逃れているのでもありません。ずっと落ち続けています。月も人工衛星も同じで、落ち続けているから円を描きます。りんごの落下と月の運動が同じ つの法則で書けること、これが万有引力の法則の中身です。