衝突のあと、2 個がどんな速さになるかを求めます。知りたいのは と の 2 つです。
手元にあるのは保存則 1 本、 だけです。未知数 2 つに式 1 本では決まりません。
実際、和が同じになる組み合わせはいくらでもあります。図では合計を保ったまま 2 つの速度を動かしています。どれも保存則を満たしていますが、本当に起きるのはそのうちの 1 つだけです。
足りない 1 本は、衝突がどれくらい弾むかを決めるものになるはずです。それを測る量が反発係数です。
反発係数 は、離れる速さを近づく速さで割ったものです。符号まで込めて と書くと、そのまま式として使えます。
出てくるのは相対速度だけです。どちらの球から見るかによりません。近づく速さと離れる速さの比を測っているだけだからです。
なら、離れる速さは近づく速さと同じです。これを完全弾性衝突といいます。 なら離れません。ぶつかってそのまま一緒に動く、完全非弾性衝突です。
は 2 つの物体の材質で決まる値で、 から のあいだに入ります。これが足りなかった 1 本です。
2 本そろいました。保存則と、いまの です。あとは連立するだけです。
解くと となります。 は添字を入れ替えた形です。
覚える式ではありません。連立を解いた結果というだけです。大事なのは、保存則ともう 1 本があれば必ず解ける、ということのほうです。
確かめに と を入れてみてください。、 となります。同じ重さの球がまともにぶつかると、速度をそっくり取り替える。ビリヤードで見るあの動きです。
運動量は保存しました。運動エネルギーのほうはどうでしょうか。
計算すると、衝突で失われるのは です。 を換算質量といいます。
なら が になり、失われません。 が小さいほど多く失われ、 でいちばん多くなります。図では を動かしています。運動量の棒は動かず、エネルギーの棒だけが縮みます。
失われたぶんは消えたのではなく、熱や音や、へこみに移っただけです。運動量は保存し、運動エネルギーは保存しない。同じ衝突でも、量によって成り立つことが違います。