皇室典範改正案、10 日にも衆院通過へ 女性皇族の身分保持と養子縁組が柱
2026年7月9日 20:57
政府が今国会に提出した皇室典範等の改正案が、10 日にも衆院を通過する見通しとなった。衆院議院運営委員会は 8 日の理事会で、10 日に委員会で質疑と採決を行うことを決めた。与党は同日中に本会議へ緊急上程する構えで、可決されれば、皇族数の確保をめぐる制度づくりが大きく前へ進む。
改正案は 6 月 30 日の臨時閣議で決まった。衆参両院が取りまとめた「立法府の総意」を踏まえたもので、先細りが指摘される皇族数に歯止めをかけることをねらう。皇族はこの数十年で減少が続き、若い世代の多くを女性皇族が占める。現行制度のままでは、公務の担い手がさらに細るとの懸念が強い。
議論の起点は、2017 年に成立した天皇退位の特例法だった。その付帯決議が、安定的な皇位継承の方策を検討するよう政府に求めた。これを受けた政府の有識者会議は 2021 年、皇族数を確保する具体策として、女性皇族が結婚後も皇族にとどまる案と、旧宮家の男系男子を養子に迎える案を示した。その後、衆参両院の議長のもとで各会派が協議を重ね、対応の方向性を「立法府の総意」として取りまとめた。今回の改正案は、この流れの到達点にあたる。
二つの柱
柱は二つある。一つは、女性皇族が結婚した後も皇族の身分を保てるようにすること。もう一つは、皇族に養子を迎えられるようにする仕組みで、対象は旧宮家の男系男子に限られる。自由民主党は改正案の趣旨をこう説明する。
天皇および皇族以外の男子との婚姻によって皇族の身分を離れることがないものとする
自由民主党(皇族数の確保は喫緊の課題 皇室典範等改正案を閣議決定)
現在の女性皇族には経過措置を設け、結婚の際に本人の意思で皇族の身分を離れることも選べるようにした。養子縁組の対象は、旧宮家の流れをくむ、配偶者と子がいない 15 歳以上の男系男子に限る。養子本人は皇位継承の資格を持たないが、その子孫が男性であれば資格を持つ。
今後の焦点
与党は今国会での成立に強くこだわってきた。皇位の安定継承は各会派に共通する課題であり、隔たりは比較的小さいとされる。衆院を通過すれば、審議の舞台は参院へ移る。会期末が近づくなかで、残る日程をどう確保するかがまず問われる。
ただし、今回の改正で皇位の継承資格者そのものが増えるわけではない。養子縁組の対象は限られ、実際に候補が現れるかは見通せない。女性・女系天皇を認めるかどうかという最大の論点も、今回は先送りされている。安定的な皇位継承という本丸の議論は、なお残されたままだ。