日本の長期金利が節目を次々に切り上げている。指標となる新発10年国債の利回りは、7月7日に「骨太の方針」の原案報道を受けて2.85%台へ乗せたあと、8日には一時2.870%と1997年5月以来およそ29年ぶりの高水準を付けた。翌9日には一時2.9%近辺と、約30年ぶりの水準まで上昇した。財務省が7月に発行する10年債の表面利率(クーポン)も、前月から2.7%へ引き上げられ、こちらも約29年ぶりの高さとなった(財務省)。

金利上昇の底流には、日銀の政策正常化がある。日銀は6月に政策金利を1.0%へ引き上げ、国債買い入れの減額も続けている。買い入れが細るぶん、長期・超長期の金利は市場の需給で決まる度合いを強めている。日銀の「主な意見」も、減額による供給圧力と市場機能の回復に言及している。

日本銀行の買入れ減額により、国債市場に歴史的な供給圧力が生じている。市場機能も急速に回復し、長期・超長期ゾーンの実質金利も海外並みとなる中、来年4月以降の減額停止が妥当である。

日本銀行(金融政策決定会合における主な意見、2026年6月15・16日開催分)

直近の上昇の引き金は、「骨太ショック」と呼ばれる。6月30日に示された「骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針2026)」の原案が、財政悪化への警戒を一気に強めたためだ。食料品の消費税率の引き下げや官民投資の拡大を掲げる一方で、その財源の説明が乏しく、財政健全化の姿勢が後退したと受け止められた。原案には日銀の利上げをけん制するとも読める文言があるとされ、利上げ後ずれ観測から円安も同時に進んだ。

加えて、財政健全化目標を見直し、財政健全化に向けた姿勢を事実上後退させるとの観測を生じさせていることなどを受けて、金融市場では財政悪化懸念が高まり、円安と債券安が同時に進んでいる面がある

野村総合研究所(木内登英)

超長期債も過去最高圏

金利上昇は、より期間の長い国債にも及ぶ。年初には新発30年債の利回りが3.8%台、40年債が初めて4%台に乗せ、いずれも過去最高を付ける場面があった。30年債の利回りは一時、ドイツを上回った。異次元緩和のもとで長く抑え込まれてきた金利が、正常化と財政拡張の両にらみで水準を切り上げている。

今後の焦点

焦点は、上昇がどこまで進むかだ。市場では、財政懸念が強まれば10年債利回りが3%に達するとの見方も出ている。政府が7月中にまとめる骨太の方針の最終案で財政規律をどう示すか、そして7月30〜31日の日銀会合が追加利上げをどう示唆するかが、当面の分かれ目となる。長期金利の上昇は、国の利払い費や住宅ローン金利、企業の資金調達コストにも波及するだけに、市場は神経をとがらせている。