政府がまとめる経済財政運営の指針「骨太の方針」で、日銀の金融政策に関する記述が焦点になっている。共同通信によると、政府は経済成長の実現に向けて「適切な金融政策運営」の重要性を書き込む方針で、市場では、日銀の急速な利上げをけん制する内容だとの受け止めが広がった。

骨太の方針は、政府が毎年まとめる中期的な経済財政の基本方針で、翌年度の予算編成の土台になる。今回、金融政策に踏み込む書きぶりが注目を集めたのは、日銀が金融政策の正常化を進める微妙な局面と重なったためだ。共同通信は、政府が固めた方針をこう報じている。

経済成長の実現に向け「適切な金融政策運営が行われることも非常に重要だ」と明記する方針を固めた。

沖縄タイムス/共同通信(政府「骨太方針」、日銀けん制へ 適切な金融政策「非常に重要」)

利上げ局面での綱引き

背景には、日銀が利上げを進める局面に入ったことがある。日銀は 6 月、原油高に伴う物価上昇を抑えるため、政策金利を 0.75% 程度から 1.0% 程度へ引き上げ、31 年ぶりの高い水準とした。年内のさらなる利上げも市場で意識され、家計や企業の借入負担、国債の利払い費の増加が懸念されている。政府が成長との両立を強調する裏には、こうした引き締めの流れに一定の歯止めをかけたい思惑があるとみられる。

日本では、物価高が家計の重荷となる一方、急な利上げは景気や国の財政を冷やしかねない。政府と日銀は、2013 年に結んだ共同声明で、2% の物価目標に向けて連携してきた経緯がある。今回の書きぶりは、その連携の意味を政府がどう受け止めているかをにじませる。

独立性との距離感

原案では、日銀に対し、日銀法第 4 条や政府・日銀の共同声明の趣旨に沿って緊密に連携するよう求め、「安定的な物価上昇の実現」といった表現も加わったとされる。日銀法第 4 条は、金融政策の運営にあたって政府と日銀が意思疎通を図るよう定めた条文だ。ただ、政府が金融政策の中身に踏み込む書きぶりは、中央銀行の独立性との距離感という難しさをはらむ。野村総合研究所の木内登英氏は、原案が日銀の利上げけん制や円安の進行につながりかねないと指摘する(野村総合研究所)。

方針の最終的な文言と、それを日銀がどう受け止めるかが、当面の焦点となる。物価と賃金の動き、そして円相場をにらみながら、政府と日銀の間合いは続く。