名目賃金、5月も3.2%増 「1992年以来」の伸び続く 実質賃金もプラス維持
2026年7月10日 21:03
厚生労働省が7月7日に公表した毎月勤労統計調査(2026年5月分・速報)で、賃金の上昇基調が改めて確認された。働く人1人あたりの現金給与総額(名目賃金)は前年同月比3.2%増の31万1,165円と、53か月連続で前年を上回った(厚生労働省)。基本給にあたる所定内給与も27万5,942円と3.0%伸び、賃金全体を押し上げた。
名目賃金が3%を超える伸びとなるのは、4月の3.6%増(改定値)に続いて4か月連続で、この長さは1992年以来となる。2026年の春季労使交渉(春闘)での高い賃上げや、2025年の最低賃金の引き上げが、幅広い企業に波及したためだ。
定期昇給とベースアップを合わせた賃上げ率は5.46%1万9964円で、3年連続で5%超の高水準となった。金額ベースでは1万9964円と、比較可能な1976年以降で最も高かった。
nippon.com(大手賃上げ率5.46%=26年春闘、経団連第1回集計)
物価を加味した実質賃金も、上向きを保っている。5月は前年同月比1.4%増と、5か月連続のプラスで、この長さは2021年以来となる。名目賃金の伸びが続いたことに加え、ガソリンの暫定税率の廃止などで物価上昇率が鈍ったことが効いた。
実質賃金は前年同月比1.4%増と5ヶ月連続でプラスとなりました。
マネクリ(マネックス証券)
もっとも、賃金の改善が家計の実感につながるかは、なお見えにくい。5月は物価高への警戒から支出を抑える動きもみられ、賃上げが消費の押し上げに十分結びついていないとの指摘もある。
「賃金と物価の好循環」
賃金の伸びは、日銀が目指す「賃金と物価の好循環」を裏づける材料でもある。日銀は、賃金上昇が物価へ無理なく波及していくかを見極めながら、追加利上げの時期を探っており、実質賃金がプラスで定着すれば、消費の底上げを通じて景気を支える力にもなる。5月の統計は、その前提がひとまず保たれていることを示した。
今後の焦点
ただし、実質賃金がプラス圏にとどまれるかは、物価次第の面が大きい。中東情勢を受けた原油高や、円安による輸入物価の上昇が、夏以降に食料品などの値上げとして表れれば、物価の伸びが再び加速し、実質賃金を押し下げかねない。賃上げの勢いが続くなかで、家計の購買力が実際に高まるかどうかが、個人消費と景気の行方を左右する。