宇宙開発ベンチャーの ispace(9348)の株価が 9 日、ストップ高となった。前日比 80 円高い 508 円で買い気配のまま引け、2025 年 1 月以来の高値をつけた。米 SpaceX のロケット「スターシップ」を使う新たな月輸送サービスを始めると発表したことが好感された。この日の日経平均株価は 67,743.85 円で引けた。

ispace は 8 日、自社開発の着陸機「ULTRA」による輸送に加え、スターシップの荷物用スペースを活用する新サービスを打ち出した。会社の発表はこうだ。

従前より提供する自社ランダーULTRAを活用した月輸送サービスに加え、新たなサービスとして、SpaceXによるスターシップのペイロード(荷物)スペースを活用した、月輸送サービスの提供を開始することを発表いたしました。

ispace(SpaceX「スターシップ」のペイロード搭載枠を確保/プレスリリース)

確保したのはスターシップの搭載枠 500kg で、最速 2030 年の月面着陸を見込む。500kg 未満の比較的小型の荷物を運びたい顧客に向けて、グローバルに販売するという。自社の着陸機とスターシップを併用することで、輸送の頻度と規模の両面から選択肢を広げる狙いがある。

「月アクセス・インテグレーター」へ

会社は、単なる「月への輸送」にとどまらず、地球から月面までを一貫してつなぎ、顧客の荷物の統合・輸送・運用までを担う「月アクセス・インテグレーター」への進化をめざすとしている。市場の反応も速く、財経新聞や株探は、関連銘柄への物色が広がったと伝えた(財経新聞株探)。

月面開発は、各国の政府機関や企業が相次いで計画を打ち出し、輸送需要の拡大が見込まれる分野だ。ispace は、その輸送を担うプレーヤーとしての地歩を固めようとしている。ただ、宇宙関連株は思惑で急騰と急落を繰り返しやすく、値動きの荒さには注意がいる。

今後の焦点

ispace は、月着陸計画「HAKUTO-R」で挑戦を続けてきた宇宙ベンチャーだ。月面インフラの市場はなお黎明期にあり、収益化には時間がかかる。今回の輸送枠の確保は、事業の裾野を広げる一歩ではあるが、実力が問われるのはこれからだ。株価の急伸が期待先行に終わらないかどうかは、今後の受注の積み上げと、打ち上げ・着陸の実績づくりにかかっている。