キオクシア、米国上場を準備 ADS で 2027 年春めど
2026年7月7日 02:50
半導体メモリ大手のキオクシアホールディングス(東証プライム・285A)は 2026 年 5 月、普通株式を裏づけとする米国預託株式(ADS)を米国の証券取引所に上場する準備を進めていると発表した。上場先はニューヨーク証券取引所(NYSE)が想定されている。投資家層の拡大と企業価値の向上をねらう。
投資家層の拡大と企業価値の向上を目的に、米国預託株式(ADS)の上場準備を進める。
キオクシア 米 SEC への届出(Form F-6)
ADS は、外国企業の株式を米国の投資家が自国の取引所で売買できるようにする仕組みである。東京市場に上場したまま、ニューヨークでも売買の道を開くことで、世界最大の資本市場から資金を呼び込み、投資家のすそ野を広げるねらいがある。将来の大型調達に向けた布石とも受け止められている。
上場の時期は 2027 年の春ごろが視野に入っている。ただし当局の認可が前提で、時期・市場・方法はいずれも確定していない。準備の過程しだいでは、上場が実現しない可能性もあるとしている。
背景にあるのは、生成 AI 向けの需要による NAND 型フラッシュメモリの好況である。スマートフォンやパソコン向けに加え、AI サーバーやデータセンター向けの大容量ストレージで需要が拡大し、メモリ市況は従来の循環的な変動を超えて底堅く推移してきた。
キオクシアは 2024 年 12 月に東京証券取引所へ上場した。その後の株価は AI 相場を追い風に大きく上昇し、時価総額で国内最大級の企業へと駆け上がった。上場からの伸びは市場の期待の強さを映しており、今回の米上場構想もその延長線上にある。
業績も好調だ。2026 年 3 月期は売上高が 2 兆 3370 億円(前期比 37% 増)、営業利益が 8704 億円(同 93% 増)と、いずれも過去最高となった。さらに 6 月に終わる四半期の営業利益は 1 兆円を超える規模になるとの見通しも示しており、旺盛な需要が収益を押し上げている。
米国市場をめざす動きは同業にも広がっている。韓国の SK ハイニックスも米国預託株式の上場を米証券当局に申請しており、メモリ大手が相次いで世界最大の資本市場に向かう構図となっている。
もっとも、米上場が計画どおり進むかは見通しづらい面もある。メモリ市況の変動や規制への対応、そして AI 需要の持続性が、今後の焦点となる。キオクシアは、認可などの条件を見きわめながら準備を進める考えを示している。