英政府が、外国の富裕層に英国の居住権を与える新しい「投資家ビザ(investor visa)」の導入を検討していることが、2026年5月以降の複数の報道で明らかになった。俗に「ゴールデンビザ」と呼ばれる制度だが、2022年に停止された旧「Tier 1投資家ビザ」の単純な復活ではなく、まったく新しい設計の案であり、正式に決まったわけではない。英紙イースタン・アイは、案の骨格をこう伝えている。

The proposed UK investor visa scheme would allow selected high-net-worth individuals investing at least £5m into key sectors of the British economy to secure residency rights for an initial three-year period, with a possible route to permanent settlement later.

Eastern Eye

新制度案の特徴は「招待制(invite-only)」である点だ。本人が直接申請するのではなく、対英投資を誘致する政府部門が強化された身元・資金源審査を経て候補者を選び、招く方式が想定されている。最低投資額は500万ポンド(約670万ドル)で、AI、クリーンエネルギー、ライフサイエンスといった優先分野や成長企業への投資が対象。旧制度と異なり不動産は対象から外れる。当初3年の居住を経て永住権への道が開かれ、英フィナンシャル・タイムズは市民権取得の可能性にも触れている。

背景に富裕層の流出

背景には富裕層の英国離れがある。2025年に労働党政権が非居住者向けの税制優遇を廃止したことなどをきっかけに流出が加速し、ある推計では同年に1万人規模の資産家が英国を去ったとされる。推進派は「世界の人材をめぐる熾烈な競争」を勝ち抜くために必要だと主張する。投資移民業界からも歓迎の声が出ており、ある業界関係者は次のように語った。

After more than four years of calling for a reformed UK Investor Visa through various means and channels, it is good to hear that the UK Government has realised now is the time to reintroduce the Investor Visa.

IMI Daily

一方で反対も根強い。内務省と財務省はともに慎重とされ、財務省内には成長への寄与を疑問視する声がある。反汚職団体からは、こうした経路の復活が英国の信用を損なうとの警告も出ている。旧Tier 1ビザは監督の甘さや不透明な資金の流入への批判を受けて2022年2月に停止された経緯があり、同じ轍を踏まないかが問われる。2026年7月時点で正式な発表や制度化の告示はなく、労働党政権内の対立が解けて制度化へ進むかどうかが今後の焦点となる。