海外での臓器移植を有償であっせんしたとして、警視庁と愛知・兵庫両県警の合同捜査本部は2026年7月7日、臓器移植法違反の疑いで、元NPO法人理事の菊池仁達容疑者(66)ら3人を逮捕した。警視庁によると、有償でのあっせんを摘発するのは全国で初めてだという。

逮捕されたのは、元NPO法人「難病患者支援の会」理事の菊池容疑者、菊池容疑者が実質的に経営する一般社団法人「国際医療相談室」代表理事の安藤貴樹容疑者(66)、菊池容疑者の長男で会社員の充容疑者(42)の3人。

捜査関係者によると、3人はウェブサイトで海外移植の希望者を募り、カンボジアの病院での生体腎移植をあっせんしたとされる。2025年11月から2026年1月にかけて、問い合わせてきた都内の70代男性に海外での移植を勧め、事務手数料や外科医への謝礼金の名目で計およそ1236万円を振り込ませ、あっせんの対価を受け取った疑いが持たれている。

募集サイトには「国内での移植の機会はごくわずかに限られていますが、海外では日常的に実施されているのが現実」などと記されていたとされる。

ライブドアニュース(カンボジアの病院での腎臓移植をあっせんか 3人逮捕 警視庁)

臓器移植法は、移植を仲介するあっせんを厚生労働大臣の許可制とし、許可なく業としてあっせんすることや、対価を得る有償のあっせんを禁じている。国内では臓器を提供する人が慢性的に足りず、移植を待つ患者は長い順番待ちを強いられている。その不足が、規制の及びにくい海外移植への需要と、無許可あっせんの温床になっていると指摘されてきた。

菊池容疑者は2023年、別のNPO法人の理事として、ベラルーシでの移植を無許可であっせんしたとして臓器移植法違反の罪に問われ、懲役8月の実刑が確定し、2026年1月に収監されていた。今回容疑がかけられた「国際医療相談室」は、その保釈中の2024年3月に設立されており、保釈中に新たな事件に関わった疑いがある。

海外移植は、渡航先での医療の安全性に加え、提供者が適正な手続きと同意のもとで臓器を提供したのかという倫理上の問題もはらむ。臓器売買や渡航移植は国際的にも戒められており、日本国内でも規制の実効性が問われてきた。今回の摘発は、規制の空白をついて広がってきた有償あっせんに、捜査当局が本格的に踏み込んだことを示す。移植を待つ患者の切実な事情につけ込む商法をどう断つかが、あらためて問われている。