尖閣沖に中国海警船2隻が領海侵入 海保が退去させる 漁船接近は「異例」
2026年7月7日 22:10
中国海警局に所属する船2隻が2026年7月7日の朝、沖縄県の尖閣諸島周辺で日本の領海に侵入した。海上保安庁の巡視船が退去を求め、2隻は午前9時20分ごろまでに領海の外へ出た。領海への侵入が確認されたのは6月10日以来で、この日は侵入に先立ち、周辺を航行する中国船4隻が確認されていた。
今回とくに問題視されているのは、2隻が同じ海域で操業していた日本の漁船に接近していたとされる点だ。中国海警船が日本の漁船に近づくのは極めて異例で、海上保安庁は複数の巡視船を出して漁船と中国船の間に入り、漁船の安全を確保しながら、中国船に対してその場で繰り返し退去を求めた。
海上保安庁は、尖閣諸島を「歴史的にも国際法上も疑いのない日本固有の領土」と位置づけ、中国海警船の行動を明確に否定している。
中国海警船の活動は、そもそも国際法違反であり、断じて容認できない
海上保安庁(尖閣諸島周辺海域における中国海警局に所属する船舶等の動向と我が国の対処)
尖閣諸島をめぐっては、2012年9月に日本政府が民間の所有者から3島を取得して国有化したのを機に、中国公船の活動が活発になった。以降、接続水域への入域はほぼ日常的となり、領海侵入も月に数回の頻度で続いている。中国側は海警局の公船の大型化や武装の強化を進めており、尖閣周辺での活動もその延長線上にある。そうしたなかで、操業中の漁船へ接近する動きが出たことは、現場の緊張が一段と高まっていることを示す。
海上保安庁は、領海侵入があるたびに現場での退去要求と外交ルートを通じた抗議を重ねてきたと説明する。
領海侵入事案が発生した際には、その都度現場において退去要求を行うとともに、外交ルートを通じて中国政府に対して直ちに厳重に抗議
海上保安庁
一方、中国海警局は今回の対応について、日本の漁船が「中国の領海」に侵入したため、警告と追い出しのための必要な措置をとったと発表し、周辺海域から日本の船舶を排除したとの立場を示した。尖閣諸島の領有と、その周辺海域での取り締まりの正当性をめぐる主張は、日中で真っ向から対立したままだ。中国は2021年に海警局の武器使用権限を定めた海警法を施行しており、日本政府は東シナ海での適用が国際法に反しないよう繰り返し求めてきた。
第十一管区海上保安本部(那覇)は尖閣周辺に巡視船を展開して警戒監視を続けており、政府も関係省庁で情報を共有する方針だ。漁を続ける八重山の漁業者にとって、操業中の接近は安全に直結する。力を背景とした一方的な現状変更の動きに、どう歯止めをかけるか。今回の接近は、その難しさをあらためて突きつけた。