外国為替市場で円相場が神経質に動いている。7月10日は円高が優勢となり、ドル円は前日のニューヨーク市場の162円台前半から、東京時間に一時161円62銭まで円高に振れた。米国とイランの緊張が和らいだことや、米長期金利の低下が背景にある。

米国とイランの間の緊張感の高まりを受けた円安は一服し、円高が緩やかに進みました。夜以降に米10年債利回りが低下しており、これも上値を抑える要因となった模様です。

OANDA証券(ドル/円見通し)

もっとも、円安の地合いは根強い。円相場は6月30日に一時1ドル=162円台と、1986年以来およそ40年ぶりの円安水準を付けた。7月1日には162円84銭近辺まで下落する場面もあった。日銀が利上げを進めてなお、日米の政策金利差が2.75%程度に開いていることが、円を売ってドルを買うキャリー取引を支えている。

一方で、円安が急に巻き戻される場面もあった。7月2日には、市場予想を大きく下回った米国の6月雇用統計(非農業部門雇用者数は前月比プラス5万7000人)と、政府・日銀の為替介入への警戒が重なり、ドル円は162円台後半から一時160円台後半(160円63銭近辺)まで、2円近く急落した。失業率は4.2%へ低下したが、労働参加率の低下を伴う中身だった。

当局はすでに円安阻止へ動いた実績がある。財務省によると、4月28日から5月27日にかけて実施した円買い・ドル売り介入は総額11兆7349億円に上り、円安局面としては過去最大となった(財務省)。市場は今回、162円を新たな介入の目安とみて身構えており、当局が口先で警戒を示す一方で実弾を控えるなか、どこまで円安を許すかを試す展開が続いている。

政策と当局発言が円を動かす

為替の綱引きには、金融政策と当局の姿勢が深く絡む。7月10日には、片山さつき財務相の発言も円買いを誘った。

GPIFなどの年金基金による国内金融資産へのさらなる投資を後押しする

外為どっとコム(今日のドル円)

今後の焦点

円の方向を左右するのは、日米の金利差の行方と、当局の介入姿勢だ。7月30〜31日の日銀会合で追加利上げへの地ならしが進めば円高材料となる一方、米国が高い金利を保てば円安圧力は残る。162円を超えて円安が加速すれば、政府・日銀が再び円買い介入に踏み切る可能性がある。円安阻止を担う財務省の司令塔(三村財務官)の続投も見込まれており、円安をけん制する姿勢は当面続くとみられる。中東情勢や原油価格の振れも、リスク回避の動きを通じて相場を揺らす。