完全失業率、5月も2.5% 人手不足が続き就業者は増加 関心は「所得」へ
2026年7月10日 21:22
総務省が発表した2026年5月の完全失業率(季節調整値)は2.5%と、前月と同じだった。近年でも歴史的に低い水準が続いている。男女別では、男性が2.6%、女性が2.3%だった。就業者数は6,890万人で前年同月より52万人増え、4か月連続の増加となった。増加分の多くは女性で、女性の就業者は47万人増えた。働く意思のない非労働力人口は3,896万人と前年より83万人減り、減少は50か月連続。高齢者や女性が労働市場に加わる動きが続いている。
企業の採用意欲も根強い。厚生労働省がまとめた5月の有効求人倍率(季節調整値)は1.17倍で、働き手1人あたり約1.2件の求人がある計算だ。前月から0.01ポイント下がったものの、なお高い水準にある。仕事を探す人よりも、人手を求める企業のほうが多い状態が続く。
労働供給が中長期的に減少していく可能性が高いこともあり、企業は高水準の賃上げなど、人材確保に向けた積極的な取り組みを続けている
大和総研(2026年5月雇用統計)
低い失業率の底には、景気の強さだけでなく、人口減少という構造要因がある。働く世代が細るなか、人手不足は慢性的となり、それが賃上げの圧力にもなっている。労働需給の引き締まりは、日銀が賃金と物価の好循環を見極めるうえでも重要な材料だ。
焦点は「失業」から「所得」へ
人手不足が定着したことで、労働市場の課題そのものが変わりつつある。かつてのように景気が悪化しても失業が急増しにくくなった一方、働き手にとっての新たな問題は、物価に負けない所得を確保できるかどうかへと移っている。
景況感が悪化しても、失業の増加という現象で労働市場の課題が顕在化しない一方で、全く別の課題が浮上している。インフレに伴う、実質賃金の低下である。
リクルートワークス研究所(古屋星斗)
今後の焦点
完全雇用に近い状態が続くなか、政策の重心は、雇用の量から所得へと移っている。名目賃金は伸びているが、物価を差し引いた実質賃金がプラスで定着するかは、なお物価次第だ。人手不足を背景とした賃上げが続き、それが個人消費を押し上げるかどうかが、日本経済の持続的な成長を左右する。7月30〜31日の日銀会合でも、堅調な労働市場は追加利上げを後押しする材料として意識される。