消費者物価、5月のコアCPIは1.4% 日銀2%目標を下回る 先行きは上振れ懸念
2026年7月10日 21:08
総務省が6月19日に公表した5月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合=コアCPI)は、前年同月比1.4%の上昇にとどまった(総務省)。日銀が物価安定の目標とする2%を、4か月連続で下回っている。値動きの荒い生鮮食品を含む総合指数は1.5%、生鮮食品とエネルギーを除いた指数は1.8%で、いずれも前年までの2%台から鈍っている。
生鮮食品とエネルギーを除く総合は、公表されている指数(小数点第1位まで表示)で計算すると、4月の1.91%から5月の1.81%へと0.1ポイント縮小しています。
飯塚信夫・神奈川大学教授(note)
物価が2%を下回る主因は、エネルギー価格の押し下げだ。ガソリンの暫定税率廃止や、電気・都市ガス代への補助が、原油高の影響を打ち消している。政府の試算では、これらの措置が一時、消費者物価を0.7ポイント程度押し下げた。食料品などの値上げは続いており、生鮮を除く食料は前年比で4%台の上昇だが、エネルギー安がそれを相殺する構図だ。
ただし、物価の落ち着きは一時的との見方が強い。7月に先行して公表された6月の東京都区部のコアCPIは1.6%上昇と、5月の1.3%から加速した。上昇が加速するのは昨年9月以来で、中東情勢を起点とする価格圧力が幅広い品目に広がり始めた兆しとされる。東京都区部でみても、物価は2%目標を5か月連続で下回ってはいる。
日銀は上振れリスクを警戒
日銀も、足元の落ち着きの裏で上振れリスクをにらむ。6月会合の「主な意見」は、消費者物価が2%を下回りながらも、企業間の価格転嫁が消費者段階へ波及していく可能性を挙げた。
足もとの消費者物価の前年比は、2%を下回る水準となっているものの、企業間取引におけるやや速いスピードでの価格転嫁が、消費者段階における幅広い品目の価格上昇に波及していく可能性があることに加え、予想物価上昇率の上昇を踏まえると、基調的な物価上昇率が2%を超えて上振れていくリスクがある。
日本銀行(金融政策決定会合における主な意見、2026年6月15・16日開催分)
今後の焦点
焦点は、エネルギー安がいつまで物価を抑えるかだ。補助が縮小・終了したり、1ドル=162円前後の円安が輸入物価を押し上げたりすれば、物価は再び2%へ向けて加速しかねない。食料品では夏以降に値上げが本格化するとの見方もある。7月30〜31日の日銀会合では、この物価の基調が、追加利上げの時期を判断する最大の材料となる。