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約分と有理化で 0 を消していく(分数関数の極限と 0/0 の不定形)

は代入だけで済みます。分子が 、分母が で、答えは 。

代入が使えるのは、分母が にならず、分子も分母も有限の値になるときです[1]。

近づく先が分母の零点だと、この手が通りません。 や が出てきます。

は答えではない

という数はありません。式の形しだいで行き先が変わるので、不定形と呼びます[4]。

は に、 は に、 は に向かう。どれも で分子と分母が です[4]。

分子と分母が に向かう速さの比が答えを決める。速さを見るには、式を変形して共通の因数を消します。

共通因数を消す

では、分子が と因数分解できます。

そのものは考えないので、 で割れます。極限は が に近い値のときの話だからです。

分子と分母が同じ一次式で割り切れるとき、グラフには点がひとつだけ抜けた穴ができます。

ドイツ語の教科書ではこれを「埋められる定義の穴」と呼びます[3]。抜けた点に極限の値を与えれば、関数はそこで連続になる。

例:3 次式の因数分解

では、 を使います。

の形を覚えておくと、 が消える相手をすぐ見つけられます。

例:根号を含む形

は因数分解できません。分子と分母に を掛けます。

が約分で消えました。根号のある は、有理化で をとり出す形になります。

例:根号どうしの差

でも同じ手です。

分子の と分母の が消えて、残った分母が に向かいます。

分母だけが になるとき

分子が でないのに分母が になる場合は、不定形ではありません。値は無限に飛びます[3]。

は 。分母がつねに正なので、左右どちらから近づいても同じです。

のほうは符号が変わります。右から近づけば 、左からなら で、極限は存在しません。

分母が になる点のうち、約分で消える点が穴、消えない点が極です[3]。まず因数分解して、どちらかを見分けます。

型

では、分子も分母も発散する形がよく出ます。こちらも不定形です[4]。

分母の最高次で分子と分母を割ると、 の形が現れて片づきます[2]。

次数の関係だけで結果が先に読めます[2]。

分子と分母が同じ次数なら、最高次の係数の比に収束する。
分子の次数が低ければ に収束する。
分子の次数が高ければ発散する。

横軸を伸ばしてグラフを見ると、この 3 通りが形の違いとして現れます。

例:分子の次数が 1 つ高い

は に発散しますが、伸び方に形があります。

割り算を実行すると、多項式と残りに分かれます[2]。

が に向かうので、グラフは直線 に貼りつきます。この直線を斜め漸近線と呼びます[2]。

差は です。 で 、 で 。目で見て離れなくなります。

負の無限大では符号に気をつける

で根号を含む式を扱うとき、 が効いてきます[2]。

が負なら なので、 と書き直します。

なら です。同じ式でも、近づく向きで答えの符号が変わります。

と書いてしまうと、負の側で符号がひっくり返ったまま計算が進みます。

根号の外へ出すときは を経由し、 の符号を確かめてから か に決める。

例: を含む形

を求めます。前が 、後ろが です。

を掛けて割ります。

分母は です。 で約分します。

符号を通したまま最後まで運ぶ。これができれば負の側も同じ手順で終わります。

不定形の一覧

行き先が式の形しだいで変わる組み合わせは、7 つ挙げられています[4]。

形例
と
と

残りの 3 つは 、、 です[4]。指数の形で出てきます。

どの形も、そのままでは値が決まりません。約分・有理化・割り算のどれかで、決まる形に直してから極限をとります。

はいくつですか。

__RESULT__

分子は 、分母は です。 を消すと になり、 で です。 は最高次の係数の比を当てた誤り、 は分子だけを見た誤りになります。

負の側も確かめます。

はいくつですか。

__RESULT__

では です。分母を で割ると なので になります。 は絶対値を無視した誤り、 は分子と分母を逆にした誤りです。

代入して不定形が出たら、分子と分母に共通の か共通の が隠れています。それをとり出して消す作業が計算の本体です。

参考文献

David Guichard. *Computing limits*. Whitman College.
*Limits at Infinity and Asymptotes*. Calculus Volume 1, OpenStax.
Oliver Deiser. *Polstellen und stetig hebbare Definitionslücken*. Einführung in die Mathematik 1.1.
Indeterminate. Wolfram MathWorld.
$x \to 1$ なら代入で終わりますが、$x \to 3$ では分子も分母も $0$ になります。$\frac{0}{0}$ は式の形しだいで $1$ にも $0$ にも $\infty$ にもなる不定形。分子を $(2x-1)(x-3)$ に分けて約分すると $5$ が残り、グラフには点が 1 つ抜けた穴が空きます。約分で消えない点は極になり、$\frac{1}{x-1}$ は左右で符号が逆になる。$x \to \infty$ では最高次で割り、$\frac{x^{2}+1}{x-1}$ からは斜め漸近線 $y = x+1$ が出ます。$x \to -\infty$ で $\sqrt{x^{2}} = -x$ になる落とし穴と、不定形 7 種の一覧まで。