指数関数の極限:不定形の問題について

指数関数 の極限は、底 の値によって振る舞いが大きく変わります。まずは基本的な性質を整理しておきましょう。

底の大きさと極限

のとき で発散し、 のとき に収束します。これが指数関数の極限を扱ううえで最も重要な事実です。

のとき

)。底が 1 より大きいと指数関数は爆発的に増大する。

のとき

)。底が 1 より小さいと指数関数は急速に減衰する。

たとえば であれば と急激に大きくなります。一方 であれば と急速にゼロに近づいていきます。

この性質を式で書くと次のようになります。 のとき、

が成り立ちます。この事実が、以降で扱う極限計算の核心となるものです。

不定形 の処理

指数関数を含む分数の極限では、分子も分母も発散して の不定形になることが多くあります。このとき使うテクニックは「分子と分母を最も増加の速い指数関数で割る」というものです。

底の異なる指数関数が混在するとき、最大の底をもつ項で分子・分母を割ることで、他の項をすべて に収束する形に変換できます。

が混在していれば で割る、 なら で割る、という要領。

具体例で確認しましょう。

この式は分子・分母ともに で発散するため、そのままでは極限を求められません。分子と分母に現れる指数関数のうち、底が最大のものは なので、全体を で割ります。

ここで なので となり、

を得ます。割り算ひとつで不定形が解消されるわけです。

典型的な例題

同じテクニックを使って、さまざまなパターンの問題に取り組んでみましょう。

例題 1

最大の底は なので で割ります。 であることに注意すると、

より、

となります。

例題 2

で割ると、分母の に注意して、

の処理を見落とさないようにしましょう。

例題 3:底が 3 つ以上

最大の底 で割ります。

底が何種類あっても、最大のもので割れば残りはすべて に向かいます。この原理は変わりません。

例題 4:答えが になるケース

で割ると、

分子の底が分母の最大の底より小さいとき、極限は になります。直感的にも、 のほうが よりはるかに速く増大するため、分母に押しつぶされてゼロに向かうと理解できるでしょう。

例題 5:係数に注意が必要なケース

で割ります。 なので、

指数部分が消えた後に残る「係数の比」が答えになることを意識しておくと、計算の見通しが立ちやすくなります。

例題 6: を含む場合

で割ります。 なので、

自然指数関数 でも考え方はまったく同じです。 と見れば底の比較ができますし、 を最大の項として割ればよいだけです。

のケース

の場合は状況が逆転します。 のとき となり、 のとき になります。

符号の反転で大小が逆転

では だが となる。つまり のときに「小さかった」底が、 では「大きく」振る舞う。

最小の底で割る

の不定形では、最も底が小さい項( で最も増大が速い項)で割るのが有効になる。

例題 7

では のほうが より大きくなります( なので、負の方向に進むと底が小さいほうが大きな値をとります)。 で割ると、

なので )。よって、

を得ます。

例題 8

では のほうが より大きいので、 で割ります。)なので、

の問題は一見取っつきにくいですが、「どの項が生き残るか」を正しく見極めれば、 のときと同じ手順で解けます。

まとめ

不定形 を確認する

最大(または最小)の底をもつ指数関数で分子・分母を割る

)を適用して極限を求める

どのような組み合わせであっても、底の大小関係を把握して適切な項で割れば、不定形は必ず解消できます。