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最大の底で割ると不定形が消える、指数関数の極限と発散の速さ

は約 10 億。 を 3 倍にしただけで桁が 3 倍になる。

一方 で、同じ速さで へ落ちていく。

指数関数の極限は、底が より大きいか小さいかだけで向きが決まる。あとは不定形をどう崩すかの話になる。

底で行き先が決まる

なら である。

では向きが入れ替わる。 なら で動かない。

指数関数の値域は より大きい範囲すべてで、負にも にもならない[2]。だから 軸が漸近線になる。

底が違う指数関数を足したり割ったりすると、 の不定形が出る。ここからが本題になる。

いちばん大きい底で割る

を考える。分子も分母も に発散する形。

出てくる底のうち最大のものは なので、分子と分母を で割る。

なので となり、不定形が消えた。

割ったあとに残るのは、最大の底につく係数だけである。他の項は全部 へ落ちる。

例:係数と指数のずれ

では、 に直してから割る。

肩に乗った を係数へ下ろす手順を飛ばすと、答えが になってしまう。

例:底が 3 種類

でも手順は変わらない。最大の底 で割る。

底が何種類あっても、最大のもの以外はすべて に向かう。残るのは係数の比だけ。

例:答えが になる

である。 で割ると分子が になる。

分子の底が分母の最大の底より小さければ、比は に潰れる。

例: を含む形

では と見る。底は で、大きいのは

を使うだけで済む。底が でも手順は同じである。

分子と分母に出てくる底を全部書き出す。
そのうち最大のものを選ぶ。
で肩の定数を係数に下ろす。
最大の底で分子と分母を割る。
残った に置きかえる。

では逆になる

が負の方向へ進むと、大小関係がひっくり返る。 に対し である。

なら なら 。生き残るのは底が小さいほうになる。

底が大きいほど速く伸びる。最大の底で割る

底が小さいほど速く伸びる。最小の底で割る

例:負の側で割る

では、生き残るのは のほう。 で割る。

なので 。分母が負のまま残り、答えの符号が負になる。

例:負の側で係数が残る

では、最小の底は である。

に注意しながら割る。

なら で割ることになり、答えは に変わる。同じ式でも向きで結果が違う。

多項式では追いつけない

指数関数は、どんな多項式よりも速く伸びる。 と正の整数 に対して次が成り立つ[1]

ドイツ語の教科書でも、この主張は指数関数の基本性質として最初に置かれている[2]

例:多項式と指数の比

である。 を級数で開くと の項が含まれる[2]

これを分母に使うと、比は より小さい。 に落ちる。

と書いても同じことで、 の形が に決まる例になっている。

例: 乗根をとる

を求める。最大の底 をくくり出す。

括弧の中は に向かい、指数の に向かう。全体は である。

和のうち最大の項だけが 乗根に残る。項を何個足しても結果は最大の底になる。

例:向かい合う 2 つの指数

の極限を見る[3] では で割る。

では で割ることになり、答えは の 2 本が漸近線になる。

同じ形は人口の増え方にも出てくる。ロジスティック曲線 に近づく[4]

分子と分母を で割れば が残る。環境が支えられる上限が、指数関数の比として出てくる形になっている[4]

を崩す手は、分数関数で最高次の項を選ぶのと同じ考え方である。

多項式なら次数、指数関数なら底の大小。いちばん速く伸びるもので全体を割る。

肩に が乗る不定形

底も指数も動く形では、 という別の不定形が出る。 がその代表になる。

底は に近づき、指数は に向かう。 の何乗でも だと考えると誤る。実際の行き先は である[2]

で見ると の形になり、こちらの行き先は 。指数の形の不定形は、対数をとって和や積に直してから扱う。

はいくつか。

__RESULT__

に直し、 で割ると になり である。 は肩の を下ろし忘れた値、 の項だけを残した値になる。

向きを変えると答えも変わる。

はいくつか。

__RESULT__

では のほうが大きいので で割る。 より である。 のときの値、 は分子だけを にした誤りになる。

出てくる底を書き出し、向きに応じて最大か最小かを選ぶ。その 1 つで割れば、指数の不定形はどれも同じ手順で片づく。

出典

Exponential function. Encyclopedia of Mathematics.
Oliver Deiser. *Die reelle Exponentialfunktion*. Erste Hilfe in Analysis.
*Calculus of the Hyperbolic Functions*. Calculus Volume 1, OpenStax.
*The Logistic Equation*. Calculus Volume 2, OpenStax.
$2^{30}$ は約 10 億、$\left(\frac{1}{2}\right)^{30}$ は 10 億分の 1。底が $1$ をまたぐと伸びる向きが入れ替わります。$\frac{5^{x}}{5^{x+1}+2^{x}}$ のような形は、出てくる底のうち最大のもので割れば $\left(\frac{2}{5}\right)^{x} \to 0$ が効いて $\frac{1}{5}$ が残る。$x \to -\infty$ では逆に最小の底で割ります。$\frac{x^{3}}{e^{x}}$、$(2^{x}+3^{x})^{1/x}$、$\tanh x$、ロジスティック曲線まで 10 通りの計算を並べ、指数がどんな多項式よりも速く伸びる理由と、$1^{\infty}$ という別の不定形も添えました。