単体複体と単体ホモロジー

単体複体は位相空間を三角形やその高次元版(単体)で分割したものです。単体ホモロジーは組み合わせ的な方法でホモロジー群を計算します。

単体の定義

における -単体(-simplex)は、アフィン独立な 個の点 の凸包です。

-単体は点、-単体は線分、-単体は三角形、-単体は四面体です。

単体複体の定義

単体複体 は単体の集まりで、次の条件を満たすものです。

の面(頂点の部分集合が張る単体)も に属する
の共通部分 は両方の面である(空または共通の面)

単体複体の幾何学的実現 は、含まれる単体すべての和集合に相対位相を入れた空間です。

単体複体の例

三角形の境界は、3つの -単体(頂点)と3つの -単体(辺)からなる単体複体であり、 です。

四面体の境界は4つの頂点、6つの辺、4つの面からなり、 です。

鎖群の定義

-鎖群 は、-単体を基底とする自由アーベル群です。

元は -単体の整数係数形式和 です。

境界作用素

境界作用素 は、単体の境界を計算する準同型です。

を除くことを意味します。交代符号により が成り立ちます。

境界作用素の例

-単体 の境界は

です。これは三角形の3辺を向き付きで足し合わせたものです。

サイクルと境界

をサイクル群、 を境界群といいます。

より です。

ホモロジー群の定義

次ホモロジー群は商群として定義されます。

サイクル(境界を持たない鎖)のうち、別の鎖の境界として表せないものが非自明なホモロジー類を与えます。

ホモロジー群の直感的意味

は連結成分を数えます。 は連結成分の個数です。

は「1次元の穴」(ループで囲めるが塗りつぶせない領域)を検出します。

は「2次元の穴」(球面で囲めるが充填できない空洞)を検出します。

三角形の境界のホモロジー

を三角形の境界( と同相)とすると、

は連結、 は1つの穴(円周が囲む)を表します。

四面体のホモロジー

を中身の詰まった四面体とすると、 は可縮なので

四面体の境界のみ(中身なし、 と同相)では , , 他は です。

サイクル

境界を持たない鎖。閉じた図形を表す。

境界

他の鎖の境界として表せるサイクル。「塗りつぶせる」穴。