ホモロジー群の計算例(球面、トーラス、射影空間)

ホモロジー群は位相空間の「穴」を代数的に捉えます。ここでは基本的な空間のホモロジー群を具体的に計算します。

球面 のホモロジー

次元球面のホモロジー群は次の通りです。

は連結性を、 次元の「殻」を反映しています。

球面のホモロジーの証明

を上半球 と下半球 に分けると、共通部分は赤道 です。Mayer-Vietoris 完全列を用いて帰納的に計算できます。

です(2つの連結成分)。被約ホモロジー を用いると統一的に扱えます。

トーラス のホモロジー

2次元トーラスのホモロジー群は

です。 の2つの生成元は経線と緯線に対応し、 の生成元はトーラス全体を表します。

次元トーラスのホモロジー

のホモロジーはKünnethの公式から計算できます。

では , , , です。

実射影空間 のホモロジー

整数係数ホモロジーは

ねじれ部分 が現れるのが特徴的です。

の例

のねじれは、 の非自明ループを2回繰り返すと自明になることに対応します。 が向き付け不可能であることを反映しています。

複素射影空間 のホモロジー

偶数次元にのみ が現れます。 はCW複体として偶数次元の胞体のみを持つことに対応します。

種数 の閉曲面

向き付け可能な種数 の閉曲面 のホモロジーは

で球面、 でトーラス、 で「 個の穴が開いたトーラス」です。

クラインの壺

向き付け不可能な曲面なので であり、 にねじれが現れます。

楔和

(一点で接合した空間)の被約ホモロジーは

となります。

向き付け可能閉曲面

(基本類が存在)。ねじれなし。Poincaré双対性が成立。

向き付け不可能閉曲面

にねじれ が現れる。整数係数では基本類がない。