Euler標数とBetti数

Euler標数とBetti数は位相空間の基本的な数値不変量です。両者は密接に関連し、空間の形状を数値で特徴づけます。

Betti数の定義

次Betti数 は、 次ホモロジー群の自由部分のランクです。

有理数係数ホモロジーはベクトル空間なので、 はその次元です。整数係数ホモロジーのねじれ部分は無視されます。

Betti数の直感的意味

は連結成分の個数です。

は独立な「1次元の穴」(トンネル、取っ手)の個数です。

は独立な「2次元の穴」(空洞、中空)の個数です。

Betti数の例

球面 では , 他は です。

トーラス では , , です。2つの穴(経線と緯線方向)があります。

種数 の閉曲面 では , , です。

Euler標数の定義

Euler標数 はBetti数の交代和です。

有限CW複体では有限和で、 は整数になります。

Euler標数の例

が偶数なら 、奇数なら

Euler標数と胞体分割

有限CW複体 がちょうど 個の -胞体を持つとき、

が成り立ちます。これはEuler標数の組み合わせ的定義です。

多面体のEuler標数

凸多面体で を頂点数、 を辺数、 を面数とすると、

これは の特別な場合です。この公式はEulerの多面体公式として知られています。

Euler標数の乗法性

が「良い」空間(有限CW複体など)のとき、

例えば です。

Euler標数の加法性

が「良い」空間のとき、

これは包除原理の位相的版です。

Euler標数とベクトル場

コンパクト多様体 上の、零点が孤立したベクトル場 に対して、

が成り立ちます(Poincaré-Hopfの定理)。 なので、 上のベクトル場は必ず零点を持ちます(毛玉定理)。

Euler標数と不動点

連続写像 に対して、Lefschetz不動点定理により

でなければ は不動点を持ちます。 のとき です。

Betti数

各次元の「穴の数」。詳細な情報を持つ。非負整数の列。

Euler標数

Betti数の交代和。単一の整数。乗法性など扱いやすい性質を持つ。