カップ積はコホモロジーに環構造を与える積演算です。コホモロジー環は位相空間の重要な不変量であり、ホモロジーにはない情報を持ちます。
カップ積の定義
, に対して、カップ積 が定義されます。
コチェインレベルでは、, に対して
です。-単体を前半と後半に分けて評価します。
カップ積の性質
カップ積は次の性質を満たします。
結合律:
単位元: の元 が単位元となる
次数付き可換:
3番目の性質から、 がともに奇数のとき となります。
コホモロジー環
にカップ積を入れた環をコホモロジー環といいます。
次数付き可換環であり、体係数では次数付き可換代数となります。
球面のコホモロジー環
()です。
の生成元に対して ( なので )です。
トーラスのコホモロジー環
(外積代数)、 です。
, であり、 は で生成されます。
一般に です。
射影空間のコホモロジー環
実射影空間:、。
複素射影空間:、。
これらは切断多項式環と呼ばれます。
カップ積の応用
カップ積はホモロジーにない情報を持ちます。
と は同じホモロジー群を持ちますが、コホモロジー環が異なります。 では ()ですが、 では対応する積が です。
キャップ積
カップ積の双対としてキャップ積 があります。, に対して です。
キャップ積はPoincaré双対性の定式化に使われます。
函手性との両立
に対して、 が成り立ちます。環準同型として引き戻しが定まります。
ホモロジー
加法的構造のみ。直和 は次数付きアーベル群。
コホモロジー
カップ積により環構造。 は次数付き可換環。空間の区別に有効。