Poincaré双対性は、コンパクト向き付け可能多様体のホモロジーとコホモロジーの間の対称性を表す定理です。多様体の位相幾何学における中心的な結果です。
定理の主張
を 次元コンパクト連結向き付け可能多様体とすると、
が成り立ちます。 は係数環(通常 や体)です。
低次元のコホモロジーと高次元のホモロジーが対応し、「対角的な」対称性が現れます。
基本類
向き付け可能な 次元閉多様体 には基本類 が存在します。これは 全体を表すホモロジー類です。
Poincaré双対同型は、キャップ積 で与えられます。
球面の例
に対して、, です。
次と 次が対応し、Betti数の対称性 が成り立ちます。
トーラスの例
に対して、, です。, , が対応します。
Betti数列 は中央で対称です。
一般のBetti数の対称性
次元コンパクト向き付け可能多様体では、 が成り立ちます。
Euler標数は で、 が奇数のとき対称性から となります。
交叉形式
のとき、 に交叉形式が定まります。
ここで は Poincaré 双対で対応するコホモロジー類です。
4次元多様体と交叉形式
4次元閉向き付け可能多様体の交叉形式は 上の対称双線形形式で、多様体の重要な不変量です。
交叉形式の符号数(正固有値の数 - 負固有値の数)は位相不変量であり、符号数定理によりPontryagin数と関係します。
非コンパクトの場合
非コンパクト多様体では、コンパクト台を持つコホモロジー を用いて
が成り立ちます。
向き付け不可能な場合
向き付け不可能な多様体では、 係数で Poincaré 双対性が成り立ちます。
整数係数では基本類が存在せず、標準的な双対性は成り立ちません。
Lefschetz双対性
境界付き多様体 に対しては、Lefschetz双対性
が成り立ちます。
閉多様体。。基本類によるキャップ積。
境界付き多様体。相対コホモロジーとホモロジーの対応。Poincaré双対性の一般化。