Stokesの定理と微分形式

Stokesの定理は微分形式の積分と外微分を結びつける基本定理です。Green の定理、発散定理、古典的な Stokes の定理をすべて統一し、de Rham 理論の基礎となります。

定理の主張

を向き付け可能な 次元コンパクト多様体で境界 を持つとする。 上の -形式とするとき、

が成り立つ。ここで には から誘導される向きを入れる。

境界の向き

の向きから の向きを定める規約が必要です。

で、 の外向き法ベクトルを の基底を とするとき、 の正の向きならば の正の向きとします。

1次元の場合:微分積分学の基本定理

, (0-形式、すなわち関数) のとき、

(向き付きで)です。これは微分積分学の基本定理そのものです。

2次元の場合:Greenの定理

を境界付き領域、 とすると、

Stokesの定理は

となり、Greenの定理が得られます。

3次元の場合:古典的Stokesの定理

内の曲面、 とすると、

回転の面積分と線積分を結びつける古典的な Stokes の定理です。

3次元の場合:発散定理

内の領域、 とすると、

Stokesの定理から発散定理(Gaussの定理)

が得られます。

証明の概略

証明は局所的な計算と1の分割を組み合わせます。

の上半空間 の有界領域の場合に証明し、一般の多様体は座標近傍への分割と1の分割で処理します。

局所的な証明

上のコンパクト台を持つ -形式 を考えます。 と書けます。

各項について、Fubini の定理と1変数の微分積分学の基本定理を適用すると、 が得られます。

境界がない場合

(閉多様体)のとき、 です。

閉形式の積分が境界のない多様体上で消えることを意味し、de Rham 理論で重要です。

特異鎖への一般化

滑らかな特異鎖 に対しても Stokes の定理が成り立ちます。

ここで は特異鎖の境界(交代和で定義)です。これが de Rham 同型の well-defined 性を保証します。

de Rham理論との関係

Stokes の定理から、閉形式のサイクル上の積分は境界を加えても変わりません。

が閉形式()で ならば、

コホモロジーとホモロジーのペアリング

Stokes の定理により、積分は

という well-defined なペアリングを与えます。de Rham の定理はこれが非退化であることを主張します。

物理学への応用

Stokes の定理は物理学で広く使われます。

電磁気学:Maxwell 方程式の積分形と微分形の同値性
流体力学:循環と渦度の関係
熱力学:状態量の経路独立性
ゲージ理論:ゲージ不変量の構成

一般化:境界付き多様体の鎖

より一般に、境界付き多様体上の特異鎖に対しても Stokes の定理が定式化できます。相対 de Rham コホモロジーと相対ホモロジーの理論に発展します。

古典的な積分定理

Green、Stokes、Gauss の各定理。特定の次元と座標系に依存。

一般化された Stokes の定理

任意の次元の多様体と微分形式。座標系に依存しない定式化。de Rham 理論の基礎。