共役類とは|定義・中心化群・類等式と、D4 と D5 で変わる形
群 の元 と について、 となる があるとき、 と は共役であるといいます。見る位置を変えただけで同じもの、という関係。
行列なら基底をとりかえた表現、置換なら番号を付けかえた置換にあたる。この関係で を分けたものが共役類です。
共役は同値関係になる
反射律は からすぐ出る。 なら なので、対称律も成り立ちます。
推移律は と から と合成するだけ。同値関係なので、 は共役類に重なりなく分かれます。
共役は位数を保つ
共役をとる写像 は の自己同型になる。積を保つことは から出る。
だから と は同じ条件で、位数が一致する。位数の違う元が共役になることはありません。
共役かどうかを調べるとき、まず位数で振り分けられる。これだけで多くの組が落ちます。
共役類は共役作用の軌道
は、 の 自身への作用になる。
この作用による の軌道が共役類 です。左から掛けるだけの作用だと軌道が ひとつしかなく、何も見えてこない。
共役で作用させると、軌道の大きさがばらつきます。剰余類による分割と違い、共役類の大きさはそろわない。
中心化群は安定化群
と交換する元の全体が中心化群 です。 と は同じ条件なので、これは共役作用における の安定化群になる。
中心化群は部分群です。中心 はいつでも に含まれ、 の生成する も含まれる。
共役類の大きさは指数で決まる
軌道と安定化群の定理を、共役作用に当てはめる。
共役類の大きさは、群の位数を割る。 を使うと、上からの評価も出る。
位数の大きい元は共役類が小さくなる、ということ。
例:巡回型で共役かどうかが決まる
対称群では、共役を巡回の書き方でそのまま追える。
番号を で付けかえるだけ、という形です。だから共役をとっても巡回型は変わらない。
逆に、同じ巡回型なら番号の対応を にとれば移り合う。 で 、 とすると になる。
どちらも交わらない互換 2 つの積で、型は同じ。
例:S4 の共役類を数える
の元を巡回型で分けます。長さ の巡回が 個ある型について、中心化群の位数は で計算できる。
| 巡回型 | 中心化群の位数 | 類の大きさ |
|---|---|---|
| 24 | 1 | |
| 4 | 6 | |
| 8 | 3 | |
| 3 | 8 | |
| 4 | 6 |
合計すると で、たしかに の位数に一致する。類の個数は 5 個。
これは の分割の個数と同じで、、、、、 の 5 通りに対応する。

中心の元は 1 元の共役類をなす
が 1 元集合になるのは、すべての で が成り立つときです。これは がすべての元と交換すること、つまり と同じ。
中心化群の言葉なら になる。だから 1 元の共役類の個数が、そのまま中心の位数です。
類等式
共役類は を重なりなく分けるので、大きさを足すと位数になる。1 元の類だけ先にまとめると、中心が現れる。
右の和は、大きさが 2 以上の類の代表元 についてとる。これを類等式といいます。
各項が を割るという条件が、このあと何度も効いてくる。
位数が のべきなら、中心は自明にならない。類等式を で見るだけで出る。
かならず可換になる。中心が真に大きくなるほかないためである。
正規部分群は共役類の合併なので、部分和が位数を割るかどうかで調べられる。
例:D4 と D5 で類等式を比べる
正方形の対称性の群 は位数 8 です。共役類は 、、、向かい合う頂点を通る鏡映 2 つ、向かい合う辺の中点を通る鏡映 2 つに分かれる。
1 元の類が 2 つあるので、中心は位数 2 で です。正五角形の になると様子が変わる。
鏡映は 5 つとも共役になり、1 元の類は単位元だけ。 の中心は自明です。
が偶数なら が中心に残り、奇数なら残らない。偶奇で形が変わります。

p 群の中心は自明でない
位数が の群 をとります。類等式を で割った余りで見る。
大きさ 2 以上の類はどれも を割るので、 の倍数になる。左辺の も の倍数。
すると も の倍数になる。単位元が入るので であり、あわせて です。
位数だけから中心の大きさが分かる、という強い結論になる。類等式の使いどころとして、いちばん有名な場面です。
例:中心が大きいとは限らない
中心が位数 で止まる例があります。対角成分がすべて の 次上三角行列を、 の上で集めた群をとる。
、、 が自由に動くので位数は です。中心を計算すると が出て、右上の だけが残る。
つまり中心の位数は しかありません。 群の中心が 以上になる、という主張は成り立たない。
位数が p の 2 乗の群は可換
とします。さきほどの結果から は か のどちらか。
と仮定し、 に入らない元 をとる。 であり、しかも 自身が に入るので、この包含は真になります。
は を割り、 より大きい。残るのは だけで、 となります。
すると がすべての元と交換することになり、 にとったことと食い違う。よって で、 は可換です。
さらに は か のどちらかになる。位数の小さいところでは、類等式だけで分類まで届きます。
可換群では共役類がすべて 1 元
可換群では がいつでも成り立ちます。だから共役類はすべて 1 元集合で、類の個数は位数に一致する。
類等式は を位数の個数だけ足した形になり、何も言わない。
共役類はすべて 1 元。類の個数が位数に等しく、類等式は の足し算になる
1 元の類は中心の元だけ。大きさのばらつきが、そのまま群の構造を映す
共役類が働くのは、非可換な群を調べるときです。
正規部分群は共役類の和
部分群 が正規であることは、すべての で が成り立つことです。言いかえると、 が元を含めばその共役類を丸ごと含むということ。
つまり正規部分群は、共役類の合併になっている部分群になる。逆向きは成り立たず、共役類の合併でも部分群でなければ正規部分群にはなりません。
なら が位数 2 の正規部分群、 が回転全体で位数 4 の正規部分群になる。
の共役類は 、、、、 です。位数 4 の正規部分群になる組み合わせはどれですか。
- と
- 、、
- と
- と
内部自己同型として見る
による共役 は自己同型でした。これを について集めたものを内部自己同型群 という。
にこの自己同型を対応させる写像の核は、すべての元と交換する元の全体、つまり中心です。
中心が大きいほど、共役で動く余地が小さくなる。 は の正規部分群にもなります。
共役類の個数と既約表現
有限群の複素既約表現の個数は、共役類の個数と一致します。 なら 5 個の類に対して 5 個の既約表現。
類の分け方が、そのまま表現の分け方になる。共役類を数えることが、群を線形代数へ翻訳する入口です。
共役類の上で値が一定な関数を 類関数 といい、表現の指標がその代表になります。既約表現の個数と共役類の個数が一致するのは、この空間の次元を 2 通りに数えた結果です。
共役でうつり合う元に同じ値をとる関数のこと。
なら 5 類で 5 個、 なら 4 類で 4 個の既約表現がある。共役類を数えた時点で、表現の個数まで決まっています。











正規部分群は単位元の類を含む合併で、しかも部分群になるものです。{e, r, r2, r3} は回転全体で、位数 4 の巡回部分群になります。