Sylow の定理は有限群における -部分群の存在と性質に関する基本定理である。有限群の構造解析において最も強力な道具の一つである。
-群と Sylow 部分群
を素数とする。群 の位数が の形のとき、 を -群という。
()のとき、位数 の部分群を の Sylow -部分群という。
第一 Sylow 定理(存在)
()ならば、 は位数 の部分群(Sylow -部分群)を持つ。
Lagrange の定理の逆は一般に成り立たないが、 べきの約数については部分群の存在が保証される。
第二 Sylow 定理(共役性)
の Sylow -部分群はすべて互いに共役である。
と が Sylow -部分群ならば、ある が存在して となる。
第三 Sylow 定理(個数)
Sylow -部分群の個数を とすると、
Sylow 定理の系
ならば、唯一の Sylow -部分群は正規部分群である。共役が自分自身しかないからである。
となる条件を調べることで、正規部分群の存在を示せることが多い。
第一定理の証明概略
が集合 に左からの積で作用することを考える。
を示し、ある軌道の大きさが で割り切れないことを導く。その軌道の代表元 の安定化群が Sylow 部分群となる。
例:位数12の群
とする。 かつ なので である。 かつ なので である。
例:位数15の群
とする。 かつ なので である。 かつ なので である。
Sylow 部分群がともに正規なので、 となる。位数15の群は巡回群のみである。
例:位数が素数の積
( は素数)とする。 かつ である。 なので となる。
よって Sylow -部分群は正規である。 ならば も成り立ち、 は巡回群となる。
Sylow 部分群の正規化群
を Sylow -部分群、 をその正規化群とする。
である。Sylow 部分群の個数は正規化群の指数に等しい。
Frattini の論法
、 を の Sylow -部分群とする。このとき が成り立つ。
これは群の構造を解析する際に有用な技法である。