Sylowの定理の応用(小さい位数の群の分類)

Sylow の定理を用いると、小さい位数の群を分類できる。位数が小さい場合は、Sylow 部分群の個数に関する制約から群の構造が絞り込まれる。

位数が素数の群

(素数)ならば である。Lagrange の定理から部分群は のみであり、 でない任意の元が を生成する。

位数が素数の2乗の群

ならば は可換群であり、 または である。

類等式から であり、 または となる。 ならば は位数 で巡回群だが、そのとき は可換となり矛盾。よって である。

位数が異なる2素数の積の群

は素数)とする。 かつ より である。Sylow -部分群 は正規である。

かつ より または である。 となるのは のときのみ。

の場合

となり、 である。例えば位数15の群は巡回群のみ。

の場合

または非可換群。例えば位数6の群は の2種類。

位数6の群

である。 なので Sylow 3-部分群は正規。 である。

ならば (可換)。 ならば (非可換)。

位数8の群

なので は2-群であり、 である。

位数8の群は同型を除いて5種類ある。

(巡回群)
(二面体群、位数4の正方形の対称群)
(四元数群)

位数12の群

である。, となる。

位数12の群は同型を除いて5種類ある。

(交代群)
(正六角形の二面体群)
に非自明に作用)

位数の小さい単純群

非可換単純群で最小のものは (位数60)である。

が非可換単純群となることはない。Sylow の定理を用いると、これらの位数の群は必ず非自明な正規部分群を持つことが示せる。

位数36の群の例

とする。 かつ より である。

と仮定すると、Sylow 3-部分群どうしの交わりを調べることで矛盾を導ける場合がある。このような議論で群の構造を絞り込む。

分類の一般的な手順

小さい位数の群を分類する手順は次の通りである。

Sylow の定理で の候補を絞る
ならば正規 Sylow 部分群が存在
複数の正規 Sylow 部分群があれば直積に分解
非正規の場合は半直積の可能性を調べる