自由群は生成元に関係式を課さない「最も自由な」群である。普遍性により特徴づけられ、群の表示の基礎となる。
自由群の直感的定義
集合 上の自由群 は、 の元とその逆元の「語」(有限列)全体からなる群である。ただし や のような隣り合う逆元対は消去する。
語と簡約
のとき、 は語である。 は と簡約される。
これ以上簡約できない語を簡約語という。 の元は簡約語と1対1に対応する。
演算
の演算は語の結合と簡約である。
単位元は空語(長さ0の語)、逆元は語を逆順にして各文字の逆を取ったものである。。
普遍性による定義
自由群 は次の普遍性で特徴づけられる。
包含写像 が存在し、任意の群 と写像 に対して、 となる群準同型 が一意に存在する。
普遍性の図式
から への任意の写像が、 を経由して一意に拡張される。
を指定すると、 が決まる。 は から生成される「最も大きい」群である。
自由群の例
である。 の語は ()と書ける。
(自明群)である。
は非可換な無限群であり、 である。
自由群の部分群
自由群の部分群は自由群である(Nielsen-Schreier の定理)。
の指数 の部分群は階数 の自由群である(Schreier の指数公式)。
自由群の階数
の階数は である。同じ階数の自由群は同型である。
で階数 の自由群を表す。, など。
自由群の性質
()は中心が自明 である。
は残余有限(residually finite)である。任意の非単位元は有限商群で非自明になる。
()は (任意の )を部分群として含む。
自由群と位相
個のループを1点で結合した空間( 葉のバラ、bouquet of circles)の基本群は である。
であり、van Kampen の定理から従う。
Cayley グラフ
の Cayley グラフは正則な木(無限の -正則グラフで閉路なし)である。
木構造は自由群の「関係式がない」性質を反映している。