有限単純群の分類(概観)

有限単純群の分類は20世紀数学の巨大な成果である。すべての有限単純群が特定の4つのクラスに属することが、多くの数学者の協力により証明された。

分類定理の主張

有限単純群は次の4種類のいずれかに分類される。

素数位数の巡回群
交代群
Lie型の群(有限体上の代数群)
26個の散在型単純群

証明の規模

分類の証明は約500本の論文、総計10000ページ以上に及ぶ。1950年代から1980年代にかけて、100人以上の数学者が関わった。

現在、証明の簡略化と再確認のプロジェクトが進行中である。

素数位数巡回群

は素数)は可換単純群であり、無限に存在する。

これらは最も単純な有限単純群である。

交代群

)は非可換単純群であり、位数は である。

は位数60で非可換単純群として最小。 は Lie 型とも同型になる。

Lie型の群

有限体 上の行列群から構成される単純群である。

古典群

(射影特殊線型群)、(射影特殊ユニタリ群)、(射影シンプレクティック群)、(射影直交群)など。

例外型Lie群

, , , , およびその変種。Lie 代数の例外型に対応。

の定義

である。

かつ のとき単純群となる。

, などの偶発的同型が存在する。

散在型単純群

無限系列に属さない26個の単純群を散在型単純群(sporadic simple group)という。

Mathieu 群 (最初に発見された5つ)から始まり、最大のモンスター群 まで。

モンスター群

モンスター群 は最大の散在型単純群であり、位数は

である。

モンスター群は196883次元の表現を持ち、モジュラー関数との不思議な関係(monstrous moonshine)で知られる。

分類の歴史

1832年:Galois が の単純性を認識

1861年:Mathieu が , を発見

1963年:Feit-Thompson の奇数位数定理(奇数位数の群は可解)

1981年:分類の完成が宣言される

応用

有限単純群の分類は、有限群の構造理論、組み合わせ論(グラフの自己同型群)、符号理論、暗号理論など多くの分野で応用される。