自由アーベル群は「関係式のない可換群」であり、整数係数ベクトル空間に相当する。階数は自由アーベル群の「次元」を表す不変量である。
自由アーベル群の定義
集合 上の自由アーベル群 は、 の元を基底とする形式和
全体からなる群である。演算は成分ごとの加法で定義される。
自由アーベル群と自由群
自由群 は非可換だが、自由アーベル群 はその可換化である。
のとき と書く。
普遍性
自由アーベル群は次の普遍性で特徴づけられる。
包含 が存在し、任意のアーベル群 と写像 に対して、 となる群準同型 が一意に存在する。
階数の定義
自由アーベル群 の階数(rank)は である。
階数は基底の元の個数であり、 上のベクトル空間 の次元に等しい。
階数の well-defined 性
ならば である。
であり、 なので従う。
自由アーベル群の部分群
自由アーベル群の部分群は自由アーベル群である。
の部分群は ()と同型である。これは体上のベクトル空間と異なる性質である( の部分空間は か のみ)。
基底の選び方
の部分群 に対して、 の基底 と正整数 ()が存在して
と表せる。 は の単因子と呼ばれる。
商群
の部分群 に対して、 は有限生成アーベル群である。
のとき、 となる。
自由アーベル群の例
は階数1の自由アーベル群である。
(整数係数多項式の加法群)は可算無限階数の自由アーベル群であり、 が基底となる。
有限生成アーベル群の構造定理
有限生成アーベル群 は
と分解される。 は の階数、 は のねじれ部分の単因子である。
ホモロジー群との関係
位相空間のホモロジー群は一般に有限生成アーベル群であり、その階数がベッチ数となる。
は階数2(ベッチ数 )、 は階数0でねじれを持つ。