リー群入門

リー群は群であると同時に滑らかな多様体でもあり、群演算が滑らかな写像となる対象である。連続的な対称性を記述する。

リー群の定義

リー群(Lie group) とは、次の条件を満たす集合である。

は群である
は滑らかな多様体である
, と逆元 , が滑らかな写像である

条件3は「群演算が微分可能」ということを意味する。

リー群の例

これまでに見た行列群はすべてリー群である。

, :一般線型群
, :特殊線型群
, :直交群
, :ユニタリ群

これらは の部分多様体として多様体構造を持つ。

次元

リー群の次元は多様体としての次元である。

(実次元)
(実次元)

可換リー群

次元トーラス)は可換リー群である。

連結可換リー群は の形に分類される。

リー環の定義

リー群 のリー環 は、単位元 における接空間 に括弧積を入れたものである。

行列群の場合、リー環は行列の集合であり、括弧積は交換子 で与えられる。

リー環の例

(すべての 次行列)

(反対称行列)

(反エルミート行列)

指数写像

指数写像 は、行列群の場合は行列指数関数

で与えられる。 の原点の近傍から の単位元の近傍への微分同相を与える。

指数写像の性質

に対して、 内の1パラメータ部分群を定める。すなわち が成り立つ。

逆に、 の任意の1パラメータ部分群 の形で書ける。

Baker-Campbell-Hausdorff の公式

一般に である。正確な関係は

で与えられる。右辺は と括弧積のみで書かれる。

連結成分

リー群 の単位元を含む連結成分 の正規部分群であり、それ自身リー群である。 は離散群となる。

は2つの連結成分を持ち、 である。 も2つの連結成分を持つ。

単純リー群とコンパクトリー群

単純リー群(非自明な連結正規部分群を持たないリー群)は分類されている。コンパクト単純リー群は , , と5つの例外型(, , , , )に限られる。