余因子展開による行列式の計算

行列式を計算する方法の一つに余因子展開がある。これは行列式を、ある行または列に沿って小さな行列式の和に分解する手法である。

小行列式と余因子

次正方行列 から第 行と第 列を取り除いてできる 次正方行列の行列式を と書き、 小行列式と呼ぶ。

余因子 は小行列式に符号をつけたものである。

符号 が偶数なら正、奇数なら負となる。これを行列の形で並べると、チェッカーボードのようなパターンになる。

余因子展開の公式

行列式は任意の行または列に沿って展開できる。第 行に沿った展開は次のようになる。

列に沿った展開も同様である。

どの行・列で展開しても同じ値が得られる。計算量を減らすには、0 が多い行や列を選ぶとよい。

3次行列での例

次の行列の行列式を第1行で展開する。

第1行の各成分に対応する余因子を計算する。

よって となる。

余因子行列と逆行列

すべての余因子を並べた行列を余因子行列と呼ぶ。余因子行列の転置を と書くと、逆行列は次の公式で与えられる。

この公式は理論的には重要だが、数値計算では掃き出し法のほうが効率的である。