クラメルの公式は、連立一次方程式の解を行列式を用いて表す公式である。理論的には美しいが、計算量の観点からは大規模な問題には向かない。
クラメルの公式
元連立一次方程式 において、係数行列 が正則()であるとする。このとき、解 の各成分は次の公式で与えられる。
ここで は、 の第 列を で置き換えた行列である。
2元連立方程式での例
次の連立方程式を考える。
係数行列と右辺ベクトルは次のようになる。
まず を計算する。
を求めるには、 の第1列を で置き換えた行列 の行列式を計算する。
同様に を計算する。
よって 、 が得られる。
公式の導出
クラメルの公式は余因子展開と逆行列の関係から導かれる。 が正則なら であり、逆行列を余因子行列で表すと
となる。右辺の和は を第 列で展開した行列式に等しい。
意義と限界
クラメルの公式は、解が行列式の比で表されることを示しており、理論的な考察に有用である。たとえば、係数がパラメータを含む場合に解の形を議論するときに役立つ。
一方、数値計算の観点では効率が悪い。 次の行列式を素朴に計算すると の計算量がかかるため、実用的には掃き出し法や LU 分解を用いるのが普通である。