線形写像(一次写像)は、ベクトル空間の間の構造を保つ写像である。線形代数において中心的な役割を果たし、行列はその具体的な表現と考えられる。
線形写像の定義
と をベクトル空間とする。写像 が線形写像であるとは、次の2条件を満たすことをいう。
任意の に対して
任意の とスカラー に対して
この2条件をまとめて、 と書くこともできる。線形写像は和とスカラー倍を保存する写像である。
線形写像の例
最も基本的な例は行列による変換である。 を 行列とすると、 で定まる写像 は線形写像になる。実際、 と が成り立つ。
他にも様々な例がある。
微分作用素
関数空間において、微分 は線形写像である。 と が成り立つ。
積分作用素
定積分 も線形写像である。積分の線形性から従う。
転置
行列空間において、転置 は線形写像である。 と が成り立つ。
線形写像の基本性質
線形写像 には次の性質がある。
まず、 が成り立つ。これは から従う。
また、 である。 となる。
一般に、一次結合の像は像の一次結合になる。
この性質は線形写像の本質的な特徴であり、基底の像を決めれば写像全体が決まることを意味する。
行列表現
有限次元ベクトル空間の間の線形写像は、基底を固定すれば行列で表現できる。 の基底を 、 の基底を とする。 を の基底で表したときの係数を並べた行列が、 の表現行列である。