線形写像の核と像

線形写像の核と像は、その写像の構造を理解する上で最も重要な概念である。核は写像で 0 に潰れる部分を、像は写像の到達範囲を表す。

核の定義

線形写像 の核(カーネル)とは、 によって零ベクトルに移される の元全体の集合である。

核は の部分空間になる。実際、 かつ ならば であり、 である。

核の次元を の退化次数(nullity)と呼び、 と書くこともある。

像の定義

線形写像 の像(イメージ)とは、 による の元の像全体の集合である。

像も の部分空間になる。 ならば であり、 である。

像の次元を の階数(ランク)と呼び、 と書く。

行列の場合

行列とし、 で定まる線形写像を考える。

核は同次方程式 の解空間に等しい。

像は の列ベクトルの一次結合全体に等しい。つまり、 の列空間である。

ここで の第 列ベクトルである。像の次元は のランクに等しい。

単射性と全射性

核と像は写像の単射性・全射性と直接関係する。

単射性

が単射であることと は同値である。核が自明なら、 から 、よって が従う。

全射性

が全射であることと は同値である。像が 全体に等しいとき、任意の に対して となる が存在する。

これらの概念は、連立方程式の解の存在と一意性を議論する際にも本質的な役割を果たす。