グラム・シュミットの正規直交化法は、一次独立なベクトルの組から正規直交基底を構成するアルゴリズムである。内積空間において基本的な手法である。
アルゴリズムの概要
一次独立なベクトル が与えられたとき、正規直交系 を次の手順で構成する。
まず を正規化して を得る。
次に から 方向の成分を引き、正規化して を得る。
一般に、 からすでに得られた への射影を引き、正規化する。
具体例
で次のベクトルを正規直交化する。
まず とする。
から 成分を引く。 だから
より を得る。
同様に から 成分を引いて を構成する。
QR 分解との関係
グラム・シュミット法は QR 分解と密接に関係する。 を列ベクトル からなる行列とすると、 と分解できる。 は正規直交列ベクトル を並べた行列、 は上三角行列である。
の成分は正規直交化の過程で現れる係数であり、( の場合)となる。
数値的安定性
標準的なグラム・シュミット法は、数値計算において丸め誤差の影響を受けやすい。改良版として修正グラム・シュミット法があり、直交性の損失を抑えることができる。より安定な方法としてはハウスホルダー変換による QR 分解がある。