直交性はヒルベルト空間の幾何学的構造を特徴づける概念です。直交補空間を使うと、空間を直和分解できます。
直交の定義
ヒルベルト空間 の元 , が 直交する とは、 が成り立つことをいいます。 と書きます。
集合 のすべての元と直交するとき、 と書きます。
直交補空間
部分集合 に対して、直交補空間 を次で定義します。
は常に閉部分空間になります( が部分空間でなくても)。
基本的な性質
直交補空間をとる操作は包含を逆転させます。
は二重直交補空間に含まれます。
の閉線形包と同じ直交補空間をもちます。
閉部分空間の直交分解
ヒルベルト空間の閉部分空間 に対して、次の直和分解が成り立ちます。
つまり、任意の は (, )と一意的に書けます。
この分解を与える射影 を への 直交射影 といいます。
例
において、 とすると、 です。
任意の関数 は偶関数部分と奇関数部分に分解できます。
二重直交補空間
閉部分空間 に対して が成り立ちます。一般の部分集合 に対しては
です。つまり二重直交補空間は の閉線形包になります。