双対空間 は「 上の有界線形汎関数の全体」ですが、これを「 のベクトルを測定する道具の集まり」と考えると理解しやすくなります。
線形汎関数は「測定器」
有界線形汎関数 は、ベクトル を入力すると数値 を返します。この数値は の「ある側面」を測定した結果と考えられます。
たとえば 上の汎関数
は「 成分の2倍と 成分の3倍の和」を測定しています。 成分は無視されます。
双対空間は「測定器の集合」
はこのような測定器をすべて集めたものです。様々な測定器を使い分けることで、 のベクトルを多角的に調べられます。
ベクトルの特定
が十分に豊富なら、異なるベクトル を区別する測定器 ()が存在します。ハーン・バナッハの定理がこれを保証します。
部分空間の特定
閉部分空間 は「 上で になる測定器すべてで になるベクトルの集合」として特徴づけられます。
具体例で考える
上の汎関数を考えます。 に対して
と定義すると、 は と の内積を測定しています。 を変えると異なる「方向」への成分が測定できます。
実は のすべての有界線形汎関数はこの形で書けます。これがリースの表現定理の内容です。
双対空間がわかると何がうれしいか
| 弱収束の理解 | は「すべての測定器で測った値が収束」の意味 |
| 反射性の判定 | と の関係で空間の性質がわかる |
| 作用素の共役 | から が定まる |
双対空間を通じて、元の空間を「外から」眺めることができます。これは無限次元空間を理解する強力な手法です。