一様有界性原理は「各点で有界なら一様に有界」という主張です。なぜこれが驚くべき結果なのか、直感的に説明します。
主張の意味
バナッハ空間 上の有界線形作用素の族 を考えます。
「各点で有界」とは、どの を固定しても ということです。
「一様に有界」とは、、つまり作用素ノルムに上限があることです。
一様有界性原理は、前者から後者が従うと主張します。
なぜ驚くべきか
各点の条件は「 ごとに上限が存在する」だけで、その上限が によってバラバラでも構いません。なのに、すべての作用素を同時に抑える定数が存在するというのは、直感に反するように思えます。
有限次元のアナロジー
が各点で有界(各 で )でも、 は一般に成り立ちません。
とすると、各 で は有限ですが、()です。
ポイントは、作用素の 線形性 と空間の 完備性 です。この2つの構造があるから、各点の情報から大域的な結論が引き出せます。
使われる場面
| 点ごと収束の解析 | がすべての で成り立つとき、 の一様有界性がわかる |
| フーリエ級数 | フーリエ部分和作用素が各点で有界なら一様に有界 |
| 弱収束の議論 | 弱収束列は(ノルムで)有界 |
完備性がないと崩れる
が完備でないと、一様有界性原理は成り立ちません。これはベールのカテゴリー定理が完備性を必要とするためです。
反例として、多項式空間(完備でない)上で「 次の係数を 倍して返す」作用素 を考えると、各点有界ですが一様有界ではありません。