開写像定理と閉グラフ定理のつながり

開写像定理と閉グラフ定理は、どちらもバナッハ空間上の有界線形作用素に関する基本定理です。実は密接に関連しています。

開写像定理

バナッハ空間の間の全射有界線形作用素は開写像である。

言い換えると、 が全射なら、 の単位球の像 の原点の近傍を含みます。「出力が 全体を覆うなら、入力の小さな変化で出力も動かせる」ということです。

閉グラフ定理

バナッハ空間の間の線形作用素で、グラフが閉集合なら有界である。

のグラフとは のことです。「 かつ なら 」が閉グラフの条件です。

2つの定理の関係

実はこの2つは同値です。一方を認めると他方が証明できます。

開写像定理 → 閉グラフ定理

のグラフが閉なら、グラフ空間上の射影 は全単射有界線形です。開写像定理より は有界。すると も有界。

閉グラフ定理 → 開写像定理

が全射有界なら、(集合としての逆像)のグラフは のグラフを入れ替えたものなので閉。閉グラフ定理より は有界。これは が開写像であることと同値。

使い分け

開写像定理を使う場面

全射であることがわかっていて、逆写像の連続性を示したいとき。「全単射なら逆も有界」という形でよく使います。

閉グラフ定理を使う場面

作用素が有界かどうか直接示しにくいとき。グラフの閉性は収束列で確認できるので、技術的に扱いやすいことがあります。

共通の本質

どちらの定理も、証明にベールのカテゴリー定理を使います。完備性を通じて「局所的な情報から大域的な結論を引き出す」という点で、一様有界性原理とも共通しています。

バナッハ空間の3大定理(一様有界性原理、開写像定理、閉グラフ定理)は、いずれもベールのカテゴリー定理を基礎としています。