縮小写像の原理(バナッハの不動点定理)は、反復操作で不動点が見つかることを保証します。なぜ収束するのか、直感的に説明します。
縮小写像とは
写像 が縮小写像とは、ある があって
がすべての , で成り立つことです。2点間の距離が を作用させるたびに 倍以下に縮まります。
なぜ不動点が見つかるか
任意の初期点 から始めて、, , と反復します。
一般に です。 なので、項の間隔がどんどん小さくなります。
これはコーシー列なので、完備な空間では極限 が存在します。 の連続性から が従います。
一意性の理由
もし かつ なら
なので 、つまり です。
具体例:ニュートン法の変種
方程式 を解きたいとします。 として反復します。
から始めると
収束先は約 です()。
( が不動点の近く)なので縮小写像の条件を満たします。
応用
| 微分方程式 | ピカールの逐次近似法で解の存在を証明 |
| 積分方程式 | フレドホルム方程式の解の存在 |
| 数値計算 | 反復法の収束保証 |
縮小写像の原理は、「反復すれば収束する」ことを理論的に保証してくれる強力なツールです。